キダム

キダム（Quidam）

キダムは、シルク・ドゥ・ソレイユによる9番目の作品であり、1996年4月23日に初演を迎えて以来、世界中で100万人以上の観客を魅了してきました。この公演は特に移動公演として知られ、モントリオールでのプレミアから大テントでの上演が続きましたが、2010年からはアリーナツアー形式に変わりました。

物語の中心には、両親から無視され疎外された少女、ゾエがいます。彼女は日常から抜け出し、キダムと呼ばれる幻想的な世界を心の中で描きます。作品タイトルの「キダム」は、傘と山高帽を持つ頭のない男性キャラクターを指し、これは誰にでもなりうる「名もない通りすがりの人」を象徴しています。シルク・ドゥ・ソレイユの公式パンフレットでは、キダムは「街角をさまよう匿名の孤独な通行人」であり、私たち自身と深く共鳴する存在とされています。

日本での公演は2003年から2004年にかけて行われ、516回の上演が行われる中で132万人の観客を動員しました。

舞台装置と技術

キダムの舞台は、空港や駅といった無機質な場所を模して設計されており、Michel Crête がデザインしました。120フィートの高さのアルミ製の大アーチが5本用意され、出演者が舞台裏から出入りするための索道として機能しています。舞台底部はアルミデッキで、20万カ所以上の穴から下方の光が漏れ、効果的な視覚演出がなされています。

登場人物

キダムの世界には、50名以上のアクロバットやミュージシャン、キャラクターが登場します。 主な登場人物は以下の通りです。

• - ゾエ（Zoé）: 主人公で、日常に退屈している普通の女の子。
• - パパ（Father）: 自分にのみ関心があるキャラクターで、白い靴が個性の象徴。
• - ママ（Mother）: 孤独感を表し、内に潜む恐れや欲望を抱えている。
• - キダム（Quidam）: 物語の中心的存在で、匿名性を持つキャラクター。
• - ジョン（John）: ゲーム・ショーの司会者で、ゾエの父親代わり。
• - ターゲット（Target）: 笑顔の狙撃対象。
• - Chiennes Blanches: 無機的な存在として描かれるグループ。

演目内容

キダムは、アクロバットと伝統的なサーカスの演技が融合したエンターテイメントです。以下は主な演技の一覧です。

• - ジャーマン・ホイール: 円形の装置を使ったアクロバティックな演技。
• - ディアボロ: 糸で繋がれた棒を操る技術。
• - スキッピング・ロープ: 縄跳びの演技で、多数のパフォーマーが登場。
• - エアリアル・フープ: 吊り下げられたフープでの演技。
• - ハンドバランシング: 縦横のバランスを目指す演技。

衣装はDominique Lemieuxによってデザインされ、現実の都会的な風景を映し出しながら、キャラクターの個性を強調しています。

音楽と受賞歴

キダムの音楽は、ブノワ・ジュトラによって作曲され、複数のアルバムが登場しています。初盤は1997年にリリースされ、演目に合わせた楽曲が評価されています。
体操やアクロバットの素晴らしいパフォーマンス、音楽、衣装が融合し、キダムは視覚と聴覚の両面から深い感動を与えます。

キダムの評判は高く、特にアクロバティックな演技に関しては評価され、1999年にはゴールデン・クラウンを受賞しました。

キダムはアートとエンターテインメントが交差する不思議な体験を提供し、観客に忘れられない瞬間をもたらします。

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