キッス・ファースト 地獄からの使者

『キッス・ファースト 地獄からの使者』は、1974年にリリースされたKISSの記念すべきデビューアルバムです。プロデューサーには、ケニー・カーナーとリッチー・ワイズが起用されました。

アルバムのジャケットは、ビートルズの『ミート・ザ・ビートルズ』のパロディとして制作されました。しかし、そのホラー的なイメージから、当初は色物バンドとして見られ、売上は伸び悩みました。しかし、2年後にはゴールドディスクを獲得し、その音楽性が再評価されることになります。

アルバムの発売に先駆けて、アメリカ国内で小規模なツアーが行われ、収録曲の多くは現在もライブで演奏され続けています。

収録曲について

ストラッター (Strutter)：ポール・スタンレーがリードボーカルを務める、KISSの代表曲の一つ。洗練されたメロディが特徴です。
ナッシング・トゥ・ルーズ (Nothin' To Lose)：ジーン・シモンズがリードボーカルを担当。初期のKISSらしい勢いのあるナンバーです。
ファイヤーハウス (Firehouse)：スタンレーがリードボーカル。ライブでは、シモンズが火を吹くパフォーマンスが定番となっています。初期の頃は、スタンレーが消防士のヘルメットを被って演奏していました。
コールド・ジン (Cold Gin)：エース・フレーリー作曲。シモンズがリードボーカルを務めます。
レット・ミー・ノウ (Let Me Know)：スタンレーとシモンズがリードボーカルを分け合う楽曲。元々のタイトルは「サンデー・ドライバー」で、スタンレーがシモンズに初めて会った時に披露した曲です。
キッシン・タイム (Kissin' Time)：カル・マンとバーニー・ロウによる楽曲のカバー。ボーカルはスタンレー、シモンズ、クリス。ボビー・ライデルが1960年に発表したオールディーズ・ナンバーです。プロモーション用に短期間で録音されたため、メンバーの評価は低く、ステージで演奏されることは稀です。初回プレス時には収録されておらず、追加分から収録されました。
ジュース (Deuce)：シモンズがリードボーカルを担当。初期のステージではオープニングで演奏されることが多かった楽曲です。アルバム収録版はライブテイクとは異なる印象を与えます。
キッスのテーマ (Love Theme From Kiss)：インストゥルメンタル曲。スタンレー、シモンズ、フレーリー、ピーター・クリスの共作。ごく初期のステージでは、「アクロバット(Acrobat)」の一部として演奏されていました。同曲は未発表曲でしたが、後にCDボックス・セットとDVD『キッソロジー』に収録されました。
10万年の彼方 (100,000 Years)：スタンレーがリードボーカルを担当。初期のステージではドラムソロがフィーチャーされていました。
ブラック・ダイヤモンド (Black Diamond)：イントロのボーカルはスタンレー、本編のボーカルはクリスが担当。ライブでは終盤のハイライトとして、ドラマーによって歌われることが恒例となっています。

『キッス・ファースト 地獄からの使者』は、KISSの原点であり、彼らの音楽性の多様性と可能性を示す重要な作品と言えるでしょう。

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