キム・ポッシブル

『キム・ポッシブル』（原題：Kim Possible）は、アメリカのディズニー・チャンネルが手掛けた人気テレビアニメシリーズです。ごく普通の高校に通うチアリーダーでありながら、世界中からの依頼を受けて様々な危機から人々を救うスーパーヒーロー、キンバリー・アン・ポッシブル（通称キム）が主人公。彼女の冒険は、幼なじみでどこか頼りないものの、時に予想外の活躍を見せるロン・ストッパブルと、その相棒である賢いハダカデバネズミのルーファス、そして天才的なハッカーとして後方からサポートする少年ウェイドと共に繰り広げられます。彼らは「チーム・ポッシブル」として、世界征服を企む悪の科学者ドクター・ドラッケンや、その有能な助手シーゴーをはじめとする個性豊かな悪者たちに立ち向かいます。

物語は基本的に一話完結で進行しますが、時には数話にわたる連続エピソードも含まれます。特に、「タイム・ポッシブル」や「ドラマチック・ナイト」といったエピソードは、テレビ映画として制作され、通常放送では分割して放映されました。当初はシーズン3で完結する予定でしたが、その高い人気からシーズン4の制作が決定。高校生としての日常と、ヒーローとしての活動という二重生活を送るキムとロンの関係性は、シリーズを通して少しずつ変化を見せ、最終的には単なる親友から恋人へと発展します。シーズン4では、二人の高校卒業や、意外な共闘といった展開を経て物語は締めくくられました。

アメリカでは2002年6月7日に放送が開始され、2006年6月10日までの間にシーズン3までが放送されました。シーズン4は2007年2月10日から始まりました。日本では、2003年11月19日にディズニー・チャンネルで初登場。その後、テレビ東京系列の『ディズニータイム』でも2005年4月7日から2006年3月30日まで放送されました。2012年以降はディズニーXDでも再放送されるなど、長きにわたり視聴者に親しまれています。ただし、第48話にあたる「タトゥー・パニック！」は日本ではテレビ未放送でしたが、2019年3月にサービスが始まったDisney DELUXE（現在のDisney+）で初めて公開されました。

主要キャラクターには、クールでスポーツ万能な女子高生ヒーローのキム・ポッシブル、ドジながらも重要な局面で活躍するロン・ストッパブル、人間の言葉を片言で話し、機械の扱いにも長けたルーファス、そして部屋から出ずにあらゆる情報をキムに提供する天才ハッカーのウェイドがいます。彼らに敵対する悪役としては、世界征服を狙うもどこか憎めないドクター・ドラッケン、その有能で切れ者だが気まぐれな助手シーゴーが中心となります。他にも、モンキー・カンフーを操るモンキー・フィスト、悪のゴルファー、ダフ・キリガン、お金に物を言わせて悪事を働く大富豪親子セニョール・シニア・シニアとセニョール・シニア・ジュニアなど、個性豊かなヴィランが登場します。

キムの家族や友人たちも物語に彩りを添えます。有名なロケット博士の父や脳外科医の母、いたずら好きで機械の天才である双子の弟たち、そして親友のモニークなどが登場し、キムの日常生活を描写します。また、チアリーディング部でのライバル、ボニーとの関係も、高校生活の重要な要素となっています。

アニメーション版の成功を受け、2018年にはディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーとして実写版ドラマの制作が発表されました。アメリカでは2019年2月15日に、日本では同年7月2日に放送され、日本語吹き替え版ではアニメ版の声優が多数続投したことでも話題となりました。

作中には、キムたちが通うミドルトン高校、ロンのお気に入りのファーストフード店「ブエノ・ナチョ」、大型ディスカウントストア「スマーティ・マート」など、印象的な舞台が登場します。また、日本の秘密の忍者学校「ヤマノウチ学校」や、正義の秘密組織「グローバル・ジャスティス」、悪の秘密結社「WEE」といった組織も登場し、物語のスケールを広げています。他のディズニー作品とのクロスオーバーもあり、『リロ・アンド・スティッチ　ザ・シリーズ』のエピソードでは、キム、ロン、ルーファス、ドラッケン、シーゴーが登場し、意外な共演を果たしました。

主題歌「Call Me, Beep Me!」も作品の象徴であり、日本版では安良城紅（現：BENI）の歌唱バージョンが広く知られています。独特なキャラクターデザインや、アクションとコメディ、そして成長物語のバランスが見事に取れた本作は、子供から大人まで楽しめるエンターテイメント作品として、今なお多くのファンに愛されています。

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