キモン・ゲオルギエフ

キモン・ゲオルギエフ：激動のブルガリアを駆け抜けた政治家

キモン・ストヤノフ・ゲオルギエフ（1882年8月11日 - 1969年9月28日）は、ブルガリアの軍人、そして政治家として、激動の20世紀を生きました。彼は、戦間期と第二次世界大戦末期の二度にわたり首相を務め、ブルガリアの政治に大きな影響を与えました。特筆すべきは、1923年、1934年、1944年の三度のクーデターに関与したという点です。

軍人としての経歴と政治への参加

ゲオルギエフは、パザルジクで生まれ、ソフィアの軍事学校を卒業後、軍人の道を歩み始めました。バルカン戦争では中隊長として、第一次世界大戦には大隊長として従軍。1916年には戦傷により片目を失うという重傷を負いました。1920年には中佐の階級で退役し、その後、政治の世界へと足を踏み入れます。

彼は、国民協定、民主協定といった政治団体を経て、政治グループ「ズヴェノ」に加入。1926年から1928年には運輸・郵便・電信相を歴任し、政治家としての経験を積みました。

クーデターと首相就任

1934年5月、ゲオルギエフはクーデターを起こし、首相の座に就きました。ゲオルギエフ政権は、全政党を解散させ、イタリアのベニート・ムッソリーニの協同組合主義を模倣した独裁体制を確立しました。一方で、1935年7月23日にはソ連との外交関係を樹立するなど、外交面での成果も見られました。

しかし、ゲオルギエフの政権は長くは続きませんでした。1935年1月、国王ボリス3世のクーデターにより首相の座を追われ、亡命生活を送ることになります。

反ファシズム闘争と再び首相へ

亡命中の1943年、ゲオルギエフは「ズヴェノ」と共に反ファシスト勢力に加わり、祖国戦線のメンバーとなりました。そして、武装蜂起の成功後、1944年9月9日、祖国戦線政府を組閣し、再び首相としてブルガリアの舵取りを担うことになります。

戦後のブルガリアとゲオルギエフの晩年

戦後、ゲオルギエフは、人民同盟「ズヴェノ」の議長を務め、1946年から1950年、そして1959年12月から1962年3月にかけては、閣僚会議副議長を務めました。また、外務相、電化・土地改良相といった要職を歴任し、ブルガリアの発展に尽力しました。

1962年3月からはブルガリア共産党人民議会幹部会議員、祖国戦線国家会議副議長を務め、1969年9月28日に脳卒中で死去するまで、政治の舞台で活躍を続けました。

その功績から、ブルガリア人民共和国社会主義労働英雄を二度も授与されています。

キモン・ゲオルギエフは、その波乱に満ちた生涯を通じて、ブルガリアの政治に大きな足跡を残しました。彼の業績は、今日においても様々な議論を呼んでいます。

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