キャスター (漫画)

赤塚不二夫のキャスター

『赤塚不二夫のキャスター』は、著名な漫画家・赤塚不二夫と、そのプロダクションであるフジオ・プロ（シナリオ: 喰始）によって創作された日本のギャグ漫画です。この作品は、1980年の4月号で始まり、翌年の2月号まで連載されました。この短期間の連載は、赤塚のキャリアの中でも特に短いものとされています。

物語は、テレビのワイドショーを模した内容で、「キャスターです! ポップコーンの読者の皆さん! キャスターです! キャスターをよろしく」との台詞で始まります。キャスターをモデルにした主人公が、感情を押し殺して衝撃的な事件を報告する様子が描かれています。この設定は、視聴者がそのままテレビを通じて事件を知る様子をコミカルに表現しており、作品の特徴となっています。

赤塚は創刊号において、ワイドショーに関する自らの考えを述べ、「週刊誌のトップ屋の取材現場をそのままブラウン管から伝えてしまう―この手法こそ、テレビがすっかり忘れていた'ナマ'の魅力なのである」と強調しました。このように、彼の独特の視点から描かれる物語は、視聴者にとって今までにない新しい感覚を提供するものでした。

しかし、作品は過激な内容が目立つため、批判的な意見も集まりました。特に創刊第2号での人肉食描写が問題視され、雑誌は自主回収されたことが記録に残っています。このことは、赤塚自身も予想していたことであり、「オレが全面的に責任を持つから」と彼は語ったとされています。その後の号では、新しい作品や再録も含まれる形で、様々なコンテンツが掲載されました。

さらに、赤塚はインタビューの中で「今や言葉や表現にタブーがあるから漫画がつまらないのだ」と発言し、時代における言論の自由についての持論を明らかにしました。そのような中で本作は、全6話の連載が終了しました。『ポップコーン』の休刊と共にこの作品は幕を閉じ、その後の雑誌『月刊ジャストコミック』には引き継がれることはありませんでした。

現在（2018年時点）においても、『赤塚不二夫のキャスター』は単行本化されておらず、その全エピソードは未収録のまま残っています。この作品の後、赤塚は『ピヨ13世』なる新たな漫画を連載し、コンスタントに彼の創造力を発揮し続けています。

このように、『赤塚不二夫のキャスター』は、赤塚不二夫ならではのユーモアと時事問題への鋭い目線が光る作品であり、彼のランデブーが閉じた時代の重要な一部として扱われています。

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