キャッツ & ドッグス 地球最大の肉球大戦争

『キャッツ＆ドッグス 地球最大の肉球大戦争』：犬と猫のスパイ大戦争

2010年公開の『キャッツ＆ドッグス 地球最大の肉球大戦争』は、動物を主役としたデジタル3Dアニメーション映画です。前作『キャッツ＆ドッグス』の続編として制作されましたが、前作の世界観を一部継承しつつ、新たな物語が展開されています。

デジタル3D技術と動物アクターの融合

本作は、黎明期のデジタル3D技術を駆使し、動物たちのリアルな表情や動きを再現しています。多くのシーンで、VFXやパペット技術が巧みに用いられ、動物たちの魅力が最大限に引き出されています。犬や猫のアニマルアクターたちの熱演と、精巧なデジタル技術が融合したことで、非常に高度な映像表現が実現しています。

スパイ映画へのオマージュとパロディ

本作は、スパイ映画へのオマージュとパロディが満載です。007シリーズやミッション:インポッシブルを彷彿とさせるシーンや、アイテム、音楽などが随所に登場し、スパイ映画ファンも楽しめる要素が豊富に散りばめられています。さらに、他の有名映画作品のパロディも取り入れられており、細部までこだわった演出が、作品全体にユーモラスな雰囲気を与えています。例えば、悪役であるMr.ティンクルズは、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターを思わせる演出がなされています。また、ターミネーターやマトリックスを彷彿とさせるシーンも存在します。

高い制作費と興行成績

多数の動物アクターの出演や、高度な3D映像制作などにより、本作の制作費は85分の尺に対し85万米ドルと非常に高額になりました。アメリカや日本での興行成績は振るわなかったものの、オーストラリアやヨーロッパでは一定の成功を収めました。日本の公開においては、デジタル3D版の上映が主体とされ、デジタル3D映画ブームの一端を担う作品となりました。

ストーリー：犬と猫の壮絶な戦い

古くから、犬と猫は人間には知られていない所で、激しい戦いを繰り広げてきました。猫のスパイ組織「ニ・ヤ・オ」の元エージェント、キティ・ガロアは、高度な技術を使った秘密兵器を開発し、犬たちを制圧して世界征服を企みます。これに対し、犬のスパイ組織「ドッグ秘密基地」の長官ルーは、新米エージェントのディッグスと共に、キティの野望を阻止しようと奮闘します。途中、猫のスーパーエージェントであるキャサリンや、鳩のエージェント、シェイマスらと協力しながら、キティの計画を阻止しようとします。犬と猫が協力する場面もあり、予想外の展開が待ち受けています。

キャスト

本作には、クリス・オドネル、ベット・ミドラー、ロジャー・ムーアなど、豪華なキャスト陣が出演しています。日本語吹き替え版も豪華声優陣が担当し、それぞれのキャラクターの魅力を際立たせています。

公開イベントとビデオソフト

公開前にはプレス向けの試写会が開催され、タレント犬のカイくんが「肉球応援団」のプロデューサーに任命されるなど、話題を集めました。公開後はビデオソフトが発売され、発売記念試写会とトークショーも開催されました。ビデオソフトには特典映像として、同時上映されたルーニー・テューンズの短編アニメーションなどが収録されています。さらに、日本版ビデオソフトの売上の一部は日本盲導犬協会に寄付されるチャリティキャンペーンも実施されました。

関連作品と備考

本作の主題歌「Get The Party Started」は、後にホンダ・ステップワゴンのCMで使用されるなど、幅広い世代に親しまれる作品となりました。また、ワーナーブラザースとヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズの共同制作による次作品『ガフールの伝説』にも、本作と共通する点が多く見られます。

『キャッツ＆ドッグス 地球最大の肉球大戦争』は、デジタル3D技術と動物アクター、そしてスパイ映画のパロディが見事に融合した、エンターテイメント性溢れる作品と言えます。

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