キャバレー (1972年の映画)

映画『キャバレー』について

『キャバレー』（Cabaret）は、1972年にアメリカで制作されたミュージカル映画で、ボブ・フォッシー監督のもと、ライザ・ミネリやマイケル・ヨーク、ジョエル・グレイが主なキャストとして出演しました。この作品は、1931年のベルリンを舞台にしており、ナチスの台頭を背景に人々の生活を描いています。

この映画は、クリストファー・イシャーウッドの小説『さらばベルリン』や、1951年の舞台『私はカメラ』を元にしています。1966年にブロードウェイで上演されたミュージカル版もその元になっていますが、映画版は舞台と異なるエンディングを持っており、数曲のミュージカルナンバーがアレンジされて新たに作曲されました。

ストーリーの概要

物語は、アメリカ人の歌手サリー・ボウルズ（ライザ・ミネリ）がベルリンのキャバレー「キットカットクラブ」で活躍するところから始まります。彼女はそこでエムシーと友人になり、豪華で自由な生活を送る一方で、同じ下宿に引っ越してきたイギリス人の学生ブライアン・ロバーツ（マイケル・ヨーク）と出会います。最初、サリーはブライアンにたいして恋愛感情を抱きますが、彼が同性愛者である可能性を疑います。二人の関係は友情を経てやがて恋愛へと発展。サリーは、彼女が知り合った裕福な男爵マクシミリアン（ヘルムート・グリーム）との複雑な関係を通じて、彼女とブライアンの絆が試されます。

彼らの物語は、妊娠や中絶、そしてナチスの台頭という暗い時代背景とともに進行していき、キャバレーは彼らの逃げ場でありながら、同時にその危険をも象徴しています。最後には、サリーとブライアンは別々の道を歩むことになりますが、彼女はベルリンでの生活を続け、自身の自由を求める姿を見せます。

映画の特徴と受賞歴

『キャバレー』は、公開当初から評判が高く、アカデミー賞では8部門を受賞しました。その中には、ライザ・ミネリの主演女優賞やボブ・フォッシーの監督賞などが含まれています。この映画は、カルト的な人気を誇り、時代を超えて多くのファンを魅了し続けています。

特に、フォッシーの独特な演出スタイルと、脚本や音楽との調和により、作品全体が高い評価を受けました。『Tomorrow Belongs to Me』のシーンなどは、観客に衝撃を与えるものであり、ナチス体制下の緊張感とデカダンスを巧みに表現しています。

文化的影響

この映画は、ただのエンターテイメントにとどまらず、当時の社会的な問題や人間関係などを鋭く描写しています。特に、同性愛や女性の独立をテーマにした描写が特筆され、公開以降も多くの映画に影響を与えています。ライザ・ミネリのサリーというキャラクターは、自由でありたいと願う女性の象徴として、多くの人々に強い印象を与えました。

最終的に『キャバレー』は、単なるミュージカル映画を越えて、文化的、歴史的価値の高い作品として位置づけられ、アメリカ国立フィルム登録簿にも選定されています。力強いメッセージと美しい音楽、個性的なキャラクターが織りなすこの物語は、今日でも多くの人々に愛され続けています。

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