キャリアテープ

キャリアテープとは

キャリアテープは、半導体や電子部品などの微小な部品を、個別に輸送・保管するために使用される特殊なテープです。これらの部品は非常に小さく、手作業での取り扱いが難しいため、キャリアテープに埋め込むことで、自動化された製造ラインでの効率的な取り扱いを可能にします。

キャリアテープには、主に以下の2種類があります。

紙キャリアテープ：紙を基材としたキャリアテープで、比較的安価で環境負荷が低いという特徴があります。
エンボスキャリアテープ：ポリスチレン樹脂などの化成品を基材としたキャリアテープで、より精密な部品の収納に適しています。

本稿では、紙キャリアテープを中心に解説します。

キャリアテープの役割

キャリアテープは、部品メーカーでの保管や輸送、組立工場での搬送において重要な役割を果たします。特に、マイクロチップのような微小な部品は、そのままでは取り扱いが困難なため、キャリアテープに一つずつ収納することで、以下のメリットが得られます。

部品の保護：外部からの衝撃や静電気から部品を保護します。
自動化対応：マウンター（部品実装機）による自動的な部品の取り出しと実装を可能にします。
* 効率的な搬送：部品の紛失や損傷を防ぎ、効率的な搬送を実現します。

紙キャリアテープの構造

ここでは、紙キャリアテープの構造について詳しく見ていきましょう。

基材

紙キャリアテープの基材には、積層紙（板紙）が使用されます。この基材の幅や厚みは、収納する部品のサイズに合わせて調整され、一般的に300～800g/m²程度のものが使用されます。材料には、バージンパルプを使用したものと、古紙を配合したものが存在します。どちらの材料を使用するかは、環境への配慮やコストなどの要因で決定されます。

加工

製紙メーカーで製造されたキャリアテープ原紙は、まず各規格の幅に合わせてスリッターで裁断されます。その後、パンチング加工により、部品を収納するための穴と、テープを搬送するための送り穴が同時に開けられます。この穴のサイズや配置は、収納する部品の規格によって厳密に定められています。

パンチング加工のイメージとしては、8mm映写機のフィルムに似ており、コマの部分に穴が開いている状態を想像すると理解しやすいでしょう。エンボスキャリアテープの場合は、穴を開ける代わりに凹みが作られ、この凹みに部品が収納されます。錠剤薬のパッケージのような構造をイメージすると分かりやすいでしょう。

製品仕上げ

パンチング加工を施した基材（台紙）の底部には、ボトムテープが貼り付けられます。これにより、収納された部品が落下するのを防ぎます。その後、部品を穴に収納し、カバーテープを貼り付けて密閉します。最後に、テープをリールに巻き取って製品として完成します。

まとめ

キャリアテープは、電子部品や半導体の製造プロセスにおいて、なくてはならない重要な部材です。紙キャリアテープは、その構造や製造方法を通して、微小な部品の効率的な取り扱いと保護を実現しています。この技術は、電子機器の小型化や高機能化を支える基盤となっており、今後の技術進歩とともに、さらなる進化が期待されます。

もう一度検索