キャレット記法

キャレット記法は、ASCII制御文字を、印字可能な文字のみを用いて表現するための表記法です。

この記法では、キャレット（^）記号と大文字のアルファベット（基本ラテン文字）を使用します。

アルファベットは、Aから順に1, 2, 3...と番号が割り当てられ、それぞれの制御文字のASCIIコードに対応する文字が用いられます。例えば、テキスト終了(ETX)のASCIIコードは3であるため、3番目のアルファベットであるCを使用して、^Cと表記します。

[ヌル文字]は[ASCII]]コードが0であり、アルファベットに対応するものがありません。そのため、Aの一つ前にある@を用いて^@と表します。削除文字]の[[ASCIIコードは127ですが、通常は^?と表記します。これは、?を「アルファベットの-1番目」とみなし、-1を8ビットの2の補数で表したものを7ビットでマスクすると127になるという考えに基づいています。

多くのコンピュータシステムでは、コントロールキーとキャレット記法で使用されるアルファベットを同時に押すことで、対応する制御文字を生成することができます。これは、キーボードから直接入力できない制御文字を表現する手段として、キャレット記法が広く用いられる理由の一つです。

制御文字を表す方法は他にも存在しますが、キャレット記法は、その簡便さと普及度から、多くの場面で利用されています。

キャレット記法は、UNIX系の端末ドライバやテキストビューア（more, lessなど）など、様々なプログラムで使用されています。これらのプログラムでは、キャレット記法で制御文字を表現することで、テキストデータの表示や操作を制御しています。

キャレット記法の例

^A: SOH (Start of Heading)
^B: STX (Start of Text)
^C: ETX (End of Text)
^D: EOT (End of Transmission)
^E: ENQ (Enquiry)
^F: ACK (Acknowledge)
^G: BEL (Bell)
^H: BS (Backspace)
^I: HT (Horizontal Tab)
^J: LF (Line Feed)
^K: VT (Vertical Tab)
^L: FF (Form Feed)
^M: CR (Carriage Return)
^N: SO (Shift Out)
^O: SI (Shift In)
^P: DLE (Data Link Escape)
^Q: DC1 (Device Control 1)
^R: DC2 (Device Control 2)
^S: DC3 (Device Control 3)
^T: DC4 (Device Control 4)
^U: NAK (Negative Acknowledge)
^V: SYN (Synchronous Idle)
^W: ETB (End of Transmission Block)
^X: CAN (Cancel)
^Y: EM (End of Medium)
^Z: SUB (Substitute)
^[ : ESC (Escape)
^\ : FS (File Separator)
^] : GS (Group Separator)
^^ : RS (Record Separator)
^_ : US (Unit Separator)
^@ : NUL (Null)
^? : DEL (Delete)

関連項目

ASCII#ASCII制御文字
* 制御文字

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