キャロリング

小説『キャロリング』の概要

『キャロリング』は、有川浩による日本の小説で、2012年9月の文藝春秋『別册文藝春秋』第301号に前篇が、同年11月発行の第302号に後編が載せられた後、2014年10月には幻冬舎から単行本として刊行されました。また、この作品はNHKプレミアムでテレビドラマとしても映像化されています。

執筆の背景

有川浩は、2011年に自身が原作・脚本を手がけたTheatre劇団子25th act『もうひとつのシアター!』において、演劇集団キャラメルボックスの俳優、阿部丈二との交流を通じてこの作品の執筆を決意しました。彼はその後、キャラメルボックスとのコラボレーションで『ヒア・カムズ・ザ・サン』を執筆しましたが、その流れで『キャロリング』の執筆も進めることになったのです。また、キャラメルボックスの作家である成井豊と原案の段階から相談しながら、役者全員との面談を通じてキャラクターを練り上げました。本作の登場人物名には、演じる役者たちが考案した名前が反映されています。

物語のあらすじ

物語は、小規模な子供服メーカー『エンジェル・メーカー』の経営不振から始まります。この会社は学童保育も行っており、12月25日には「クリスマス倒産」を迎えます。最後の日まで残るのは、田所航平という小学6年生だけでした。彼の両親は別居中で、航平は母親の圭子とともに年明けには海外へ転勤することになっています。両親が離婚することを望まない航平は、大和俊介の同僚であり、子供好きなデザイナー・折原柊子と共に、父親の祐二がいる横浜へ向かうことを決意し、両親を仲直りさせようと奮闘します。

主要な登場人物

• - 大和俊介（やまと しゅんすけ）: 32歳。『エンジェル・メーカー』のスタッフで、元恋人の柊子を今も思い続けており、両親とは疎遠です。
• - 折原柊子（おりはら とうこ）: 大和の同僚でデザイナー、32歳。子供好きで、東京に住んでいる。
• - 田所航平（たどころ こうへい）: 小学6年生で、母親と暮らす子供。両親の仲直りを目指して奮闘する。
• - 西山英代（にしやま ひでよ）: エンジェル・メーカーを運営する女性、年齢は還暦近い。
• - 朝倉恵那（あさくら えな）: 大和の同僚、33歳。社内の新参者だが、態度は一番大きい。
• - 田所圭子（たどころ けいこ）: 航平の母で『ステラ化粧品』に勤めるキャリアウーマン。
• - 田所祐二（たどころ ゆうじ）: 航平の近くに住む父親、頼りないと思われている。
• - 坂本冬美（さかもと ふゆみ）: 整骨院の院長で、冬美の祖父の借金問題に苦しんでいる。

舞台化とテレビドラマ

2012年11月18日から25日まで新神戸オリエンタル劇場、12月3日から25日までサンシャイン劇場で舞台化されました。劇場では、有川浩が手がけたエピローグが終演後に朗読されました。さらに、2014年にはNHK BSプレミアムで、タイトル『キャロリング〜クリスマスの奇跡〜』としてテレビドラマ化され、全8回にわたって放送されました。

終わりに

『キャロリング』は、家族の絆や再生、クリスマスの奇跡をテーマに扱った作品で、読者や視聴者に深い感動をもたらします。日本の文化におけるクリスマスの意味や価値観が色濃く反映されたこの物語は、今でも多くの人に愛されています。

もう一度検索