キャロル・スローン

キャロル・スローン（1937年3月5日 - 2023年1月23日）は、アメリカ合衆国出身のジャズ歌手です。14歳でプロとしてのキャリアをスタートさせ、一時は法律事務所で秘書を務めるなど、多彩な経歴を持っています。

生い立ちと初期のキャリア

ロードアイランド州プロビデンスで生まれたスローンは、14歳の時にエド・ドリュー楽団と共演したことをきっかけに、プロの道へ進みました。1958年にはエルガート兄弟の楽団と共演し、ラリー・エルガートの助言でキャロル・モーヴァンという芸名で活動していました。1961年には、ランバート、ヘンドリックス&ロスがニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで行ったコンサートで、アニー・ロスの代役を務めました。同年、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでの成功を機に、コロムビア・レコードと契約しアルバムを発表しました。

コロムビア・レコードとの契約とその後の活動

コロムビアとの契約は、スローンにとって大きなチャンスでしたが、同時に苦悩も伴いました。彼女は、巨大レーベルが自身の温かく心安らぐフレージングを十分に理解せず、バーブラ・ストライサンドの亜流として見ていると感じたのです。1970年代には一時的に活動が低迷しましたが、1980年代に活動を再開し、円熟したジャズ・シンガーとして再び注目を集めるようになりました。

その後の活躍

コンテンポラリー・レコードやコンコード・レコード、ハイノート・レコードといった中小レーベルと契約し、積極的に録音活動を行いました。アート・ファーマー、ルーファス・リード、ケニー・バロン、フィル・ウッズ、スティーヴ・テュレー、フランク・ウェスなど、多くの著名なジャズミュージシャンとも共演しています。晩年は主に日本で演奏活動を行い、安定したファン層を獲得しました。また、アメリカ北東部やニューヨークでも活動を続けました。

私生活と晩年

1986年にバック・スパーと結婚しました。2023年1月23日、2年前に発症した脳卒中の合併症により85歳で亡くなりました。

ディスコグラフィー

スローンは数多くのアルバムをリリースしており、その一部を以下に紹介します。

Live at 30th Street (1962年、Columbia)
Out of the Blue (1962年、Columbia)
Subway Tokens (1975年、Moonbeam)
Sophisticated Lady (1977年、トリオ)
Spring Is Here (1977年、LDC)
Carol Sings (1979年、Progressive)
Cottontail (1979年、Choice)
As Time Goes by (1984年、Eastwind)
Love You Madly (1989年、Contemporary)
Heart's Desire (1992年、Concord Jazz)
Sweet and Slow (1993年、Concord Jazz)
The Songs Sinatra Sang (1996年、Concord)
Something Cool (2001年、Choice)
I Never Went Away (2001年、HighNote)

これらのアルバムは、彼女の音楽的才能と、ジャズへの深い愛情を物語っています。

キャロル・スローンの歌声は、これからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。

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