キャロル・ロング

キャロル・サマーフィールド・ロング（Carrol Summerfield Long、1850年1月3日 - 1890年9月4日）は、19世紀後半に日本で活躍したアメリカ合衆国のメソジスト監督教会の宣教師です。特に、鎮西学院（現在の鎮西学院高等学校・中学校）の創設者として、日本の教育史に名を残しています。

1850年、ロングはアメリカ合衆国テネシー州マックミン郡アセンズで、牧師の長男として生まれました。彼は幼い頃から信仰に触れ、向学心を持って成長しました。1875年には、東テネシー・ウェスレヤン大学（現在のテネシーウエスレヤン大学）を卒業し、その後、メソジスト教会の牧師とキャンドラー・カレッジの学長を兼務するという、若くして重要な役割を担いました。

ロングの人生における転機は、メソジスト外国宣教局から日本派遣宣教師に選ばれたことでした。1880年（明治13年）4月4日、彼は教育宣教師として長崎に上陸し、日本の地で教育と伝道に尽力することになります。当時、長崎の出島を中心に活動していたJ・C・デヴィソン宣教師の協力を得て、外国人居留地東山手16番館に居を構えました。そして、自宅の書斎で数名の生徒を相手に英語や聖書を教える授業を開始しました。

1881年（明治14年）10月23日、ロングの教育への情熱は形となり、東山手に木造二階建ての校舎が完成しました。この学校は加伯利英学校（カブリー・セミナリー）と呼ばれ、後に鎮西学館（鎮西学院）へと発展していくことになります。加伯利英学校は、近代的な教育を通じて人材育成を目指し、多くの若者に学びの機会を提供しました。

1882年（明治15年）4月、ロングは長崎教区の責任者となり、九州全域にわたる伝道事業を管理する重責を担いました。彼は教育活動と並行して、九州各地での伝道活動にも力を注ぎ、キリスト教の普及に貢献しました。一時帰国後、1887年（明治20年）に再び来日し、今度は名古屋教区に派遣され、名古屋中央教会を創立しました。彼は名古屋でも精力的に伝道活動を行い、教会の発展に尽力しました。

1890年（明治23年）、ロングはアメリカに帰国し、ノースカロライナ州で牧師として活動を続けましたが、同年9月4日に生涯を閉じました。彼の日本における教育・伝道活動は、鎮西学院の設立を通して、今日まで受け継がれています。キャロル・サマーフィールド・ロングは、日本の近代教育の発展に貢献しただけでなく、キリスト教の精神を広めた人物として、その名は記憶されるべきでしょう。

参考文献
* 『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年

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