キャンティ (イタリア料理店)

キャンティ（CHIANTI）について

東京都港区麻布台3丁目に位置するイタリア料理店、キャンティ（CHIANTI）は、1960年に春日商会によってオープンされて以来、著名人や文化人が訪れる高級レストランとして名を馳せています。その人気の背景には、キャンティを創業した川添浩史とその妻、川添梶子のユニークな人生と情熱があります。

オーナー川添浩史とその背景

川添浩史は、1913年2月17日に生まれました。彼は伯爵後藤猛太郎の庶子であり、養子として育てられた複雑な経歴の持ち主です。若いころにパリで過ごし、写真家ロバート・キャパと友人関係を築くなど、国際的な視野を持って成長しました。1940年には日本に戻り、フランス映画の輸入や文化イベントの開催に携わりました。戦後は高松宮宣仁親王の特別秘書として国際関係にも関与し、多くの文化活動を展開していきました。

妻川添梶子の影響

川添梶子（旧姓：岩元）は1928年に神戸に生まれ、聖心女子学院を卒業後、イタリアで彫刻を学びました。浩史と知り合ったのは、アズマカブキの公演でのこと。後に彼女は浩史と結婚し、共にキャンティを立ち上げることになります。梶子は自らのビジョンで店内のデザインを手がけ、新しいイタリアンのスタイルを日本に紹介しました。

営業とメニューの特徴

キャンティは1960年4月に麻布飯倉片町に開店し、家庭的な雰囲気の中で本格的なイタリア料理を提供しました。人気メニューのひとつであるスパゲッティ・バジリコは、自宅の庭で育てた生バジルを使い、日本人の味覚に合わせて工夫されました。また、金曜日限定のブイヤベースも多くの客に愛されています。キャンティは遅くまで営業しており、業界人や文化人の社交場としても知られ、店内は賑わいを見せました。

キャンティの社交的な役割

「キャンティ族」と呼ばれる若者たちが集まり、ファッションや音楽などのサブカルチャーの先端を行く場所として名を馳せました。浩史は「パパ」として、梶子は「タンタン」と親しまれ、多くの常連客がメンターのように感じていました。彼らは自身のスタイルを確立し、サブカルチャーの先駆者となったのです。特に、デザイナーとしての梶子の活動も有名で、グループ・サウンズや人気歌手の衣装を手がけるなど、華麗な社交界でも存在感を放ちました。

現在のキャンティ

数十年が経った今も、キャンティは変わらぬ人気を誇ります。浩史と梶子の死後、息子たちが店を引き継ぎ、さらなる発展を遂げました。現在は本店のほか、西麻布店や「カフェキャンティ」、丸ビルでのショップ展開など、多様な形で営業が続いています。また、オンラインショップでも商品の購入が可能です。

ドレスコードと顧客層

キャンティでは、店内の雰囲気を大切にするため、ドレスコードとして「スマートカジュアル」を設定しています。特に襟付きのシャツやカジュアルすぎない服装が求められ、訪れる際には注意が必要です。

キャンティは、ここでの交流を通じて新たな文化の発信源となり、今後も多くの人々から愛される場所であり続けることでしょう。

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