キヤノン オートボーイシリーズ

キヤノン オートボーイシリーズ：フィルムカメラの歴史を彩った名機たち

キヤノンのオートボーイシリーズは、1979年から2000年代初頭にかけて、フィルムカメラ市場を牽引したオートフォーカスコンパクトカメラのシリーズです。35mmフィルムを使用し、24×35mm判の撮影が可能なこのシリーズは、その使いやすさと高性能さで、世界中の多くの写真愛好家から支持を集めました。

グローバル展開と愛称

オートボーイシリーズは、世界中で販売されており、地域によって異なる愛称で親しまれていました。北米では「SURESHOT」、欧州やアジア、オセアニアでは「PRIMA」という名前で展開されました。また、韓国では金星（現LG電子）が「金星キヤノンカメラ」ブランドでノックダウン生産を行っており、その人気ぶりが伺えます。

シリーズの変遷

オートボーイシリーズは、技術革新とともに数多くのモデルが登場しました。初期のモデルから最新モデルまで、それぞれの時代を代表する特徴を備えています。

初期モデル

AF35Mオートボーイ（1979年）: シリーズの原点とも言えるモデルで、38mm F2.8の固定レンズを搭載。世界初となる赤外線アクティブ方式オートフォーカスを採用した画期的なカメラでした。自動巻き上げ・巻き戻し機能を備えた全自動カメラとしても注目されました。
AF35MLオートボーイスーパー（1981年）: F1.9の大口径40mmレンズを搭載し、AF35Mの上級版として位置づけられました。内部構造はAF35Mとは大きく異なっています。
オートボーイ2（1983年）: 38mm F2.8の固定レンズを搭載したシンプルなモデルです。

多様なモデルの展開

オートボーイテレ（1986年）: 2焦点式レンズを搭載したモデルです。
オートボーイズーム（1988年）: シリーズ初のズームレンズ搭載機です。
オートボーイMINI（1991年）: 小型軽量化を実現したモデルです。38mm F3.5の固定レンズを搭載。
オートボーイS（1993年）: 38-115mmのズームレンズを搭載したモデルです。
オートボーイD5（1994年）: 水深5mまでの水中撮影が可能な防水モデルです。32mm F3.5の固定レンズを搭載。
オートボーイルナ（1994年）: 月を模したレンズカバーが特徴的なモデルで、28-70mmのズームレンズを搭載。
オートボーイルナ35（1995年）: 35-70mmのズームレンズを搭載。
オートボーイJUNO（1995年）: 38-60mmのズームレンズを搭載。
オートボーイSE（1995年）: 太陽電池とリチウムイオン二次電池を搭載したモデルで、32mm F3.5の固定レンズを採用。
オートボーイBF80（1995年）: 38mmと80mmの2焦点切り替えが可能なモデルです。
オートボーイSII（1996年）: 38-135mmのズームレンズを搭載したモデルです。
オートボーイS-XL（1996年）: 32mm F3.5の固定レンズを搭載したモデルです。
オートボーイルナ105（1997年）: 38-105mmのズームレンズを搭載したモデルです。

最終モデル

オートボーイ180（2004年）: コンパクトカメラとして世界最高倍率となる38-180mmのズームレンズを搭載したモデルです。
オートボーイN150（2004年）: 上級機として位置づけられたモデルです。
* オートボーイN130II（2005年）: コンパクトカメラの販売終了まで主力機種として販売されました。

デジタルカメラへの移行

2000年代に入ると、デジタルカメラの普及に伴い、フィルムカメラの需要は減少しました。キヤノンも例外ではなく、2007年までに国内でのコンパクトカメラの販売を終了しました。

まとめ

オートボーイシリーズは、フィルムカメラの全盛期を彩った名機として、今も多くの写真愛好家から愛されています。その革新的な技術と使いやすさは、現代のカメラにも影響を与えていると言えるでしょう。フィルムカメラの歴史を語る上で、決して欠かすことのできないシリーズです。

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