キラーチューン

東京事変 5thシングル「キラーチューン」詳細解説

2007年8月22日、EMIミュージック・ジャパンより、日本のロックバンド・東京事変の5枚目のシングル「キラーチューン」がリリースされました。前作『OSCA』に続く2ヶ月連続リリースという意欲的な展開で、大きな話題となりました。

表題曲「キラーチューン」：スウィング感と椎名林檎ワールドの融合

楽曲の作曲は伊澤一葉が担当。当初は「スウィング」という仮タイトルで、ヒップで洗練されたスウィング感を追求したとのことです。伊澤自身も「できるだけシンプルな構成となるよう苦心した」と語っており、楽曲の骨格となるベースラインやリズム、メロディーに細心の注意が払われていることが伺えます。

しかし、この楽曲に決定的な魅力を与えたのは、椎名林檎による歌詞とタイトルでした。伊澤が完成させたデモを聴いた椎名は、そのサウンドに衝撃を受け「この曲はキラーチューンだ！」と直感的にタイトルを決定したと言います。伊澤は「キラーチューンってどういう意味？」と聞き返したというエピソードも残っており、タイトルのインパクトと楽曲のギャップが興味深いところです。

さらに、浮雲によるカントリー・テイストのギターアレンジが、楽曲に独特の深みと奥行きを与えています。スウィング感とカントリーの融合という、一見すると対照的な要素が、見事に調和した楽曲となっています。

カップリング曲：東京事変メンバーの個性光る楽曲群

カップリング曲にも、メンバーそれぞれの個性が光る楽曲が収録されています。

「BB.QUEEN（B.B.Q）」は、浮雲が東京事変加入以前、パソコンでの宅録に興じて制作した楽曲です。言葉の羅列が特徴的で、前作『OSCA』に通じるものがあるとのこと。完成版とはテンポが異なり、実験的な試みが随所に見られる楽曲となっています。2008年のライブ「SOCIETY OF THE CITIZENS vol.2」で披露された模様の一部は、ライブ・ヒストリー・ビデオ『珍プレー好プレー』に収録されています。

「体（Steam）」は、浮雲が椎名のブラックミュージック歌唱の巧みさを活かしたいという思いから生まれたスウィートソウルナンバー。アコースティックギター一本のデモ音源から、バンドサウンドへとアレンジされた経緯も興味深いです。

初回限定盤：ギザギザ仕様ジャケットと伊澤一葉のこだわり

初回限定盤は、ジャケットにギザギザの特殊加工が施されています。ジャケット写真では、リモコンを握っているのが伊澤一葉であるという点も、細かい部分へのこだわりを感じさせます。

まとめ：多様な要素の融合が魅力のシングル

「キラーチューン」は、伊澤一葉の洗練された楽曲構成、椎名林檎の唯一無二の歌詞、浮雲のカントリーギターアレンジなど、様々な要素が融合した、東京事変らしい魅力に満ちたシングルとなっています。カップリング曲にもメンバーの個性と実験的な試みが詰まっており、聴き応え十分です。このシングルから、東京事変の音楽性における多様さと、メンバー個々の才能の高さが改めて認識できるでしょう。また、発売前の「J-WAVE LIVE 2000+7」での平井堅とのコラボレーションも、このシングルが当時いかに注目を集めていたかを示すエピソードと言えるでしょう。

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