キリエのうた

『キリエのうた』

概要

『キリエのうた』は、岩井俊二による、日本の小説であり、同名の音楽映画の原作となっています。映画は2023年10月13日に公開され、監督や脚本を岩井自身が担当しています。彼はこの作品について、最初は未発表の小説に登場する少女たちの小さな物語であったと言いますが、物語が育ち続け、13年という時間が経過するにつれて、重たい運命を彼女たちに背負わせることになったと振り返っています。彼女たちはこの広い世界の中で、懸命に生き続けます。

あらすじ

物語の舞台は、新宿駅南口の路上です。5月の夕方、シンガーソングライターであるキリエ（本名：路花）は、ギターとともに歌い始めます。歌以外ではほとんど声を出せない彼女ですが、その透き通るような歌声は通行人を惹きつけ、次々と足を止めさせます。そんな彼女の前に、イッコと名乗る女性が現れ、彼女の歌をリクエストします。歌い終えた後、イッコは多額の投げ銭を渡し、キリエは一瞬にして驚きます。

翌朝、イッコが化粧を落とした姿に、キリエは彼女の正体を悟ります。イッコは、高校時代の先輩であり、友人の広澤真緒里でした。イッコはキリエのマネージャーを申し出て、彼女は徐々にキリエの音楽活動を支援することとなります。彼女は必要な機材や衣装を整え、キリエは少しずつ規模の大きな路上ライブを行うようになります。

一方、真緒里は、高校時代に潮見夏彦という男性に家庭教師をしてもらっていた過去があり、その夏彦が自分の妹として話しかけるよう頼み、彼女と路花を引き合わせることになります。夏彦はまた、彼の恋人の姉が東日本大震災で行方不明になっており、その tragedy の中で彼自身も影響を受けています。夏彦は震災後も路花や彼女の姉のことを思い続け、彼女たちの行方を追い求めていました。

震災から数ヶ月後、夏彦は路花を見つけようとするが、路花は児童相談所に送られ、その後の彼女のことはわからなくなります。数年後、運命的にキリエと再会した夏彦は、彼女の歌声に新たな希望を見出すことに。その後、開催された「路上主義・新宿中央公園フェス」では、諸々のハプニングを乗り越え、途中で中止のお知らせが宣告されてしまうが、その瞬間、キリエは思いを込めた歌を心から歌い上げ、会場の人々を魅了します。

登場人物

• - キリエ（小塚路花）:住所不定の路上ミュージシャン。東日本大震災で姉と母を失った後、歌を歌うしか声を出せなくなった。
• - イッコ（広澤真緒里）:キリエのマネージャーを買って出る女性。高校時代からの友人。
• - 潮見夏彦:路花の姉の婚約者。震災後も行方のわからない姉を探し続け、路花に特別な想いを寄せている。
• - 寺石風美:キリエを保護し、その後の彼女の人生に大きく関わる小学校の教師。

この物語は、音楽活動を通じて織り成される人間関係や、災害により大きく変わってしまった人生の糸を辿りながら、希望を見出す人たちの姿を描いています。彼らの物語は、悲しみを乗り越え、再び出会う力強さを教えてくれます。

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