キリギリス

キリギリスについて

キリギリス（螽蟖、螽斯、蛬）は、日本の本州から九州にかけて広がる昆虫で、特に鳴く虫として有名です。一般に、ヒガシキリギリスとニシキリギリスの2種に分かれていますが、今後さらに詳細な分類が進む可能性があります。

分布と特徴

日本国内では、キリギリスは鳴き声を発する代表的な虫として知られ、過去には全国的に広く分布していました。しかし、近年の研究により、少なくとも2つの種が存在することが明らかになっています。具体的には、ヒガシキリギリスは青森県から岡山県まで、ニシキリギリスは近畿地方から九州にかけて分布しています。

形態

成虫の大きさは、ヒガシキリギリスの場合、オス25.5〜36.0mm、メス24.5〜37.0mmで、ニシキリギリスではオス29.0〜37.0mm、メス30.0〜39.5mmとなります。メスの方が若干大きく、色は緑色型と褐色型に分かれます。体の形状や翅の長さは地域によって異なり、特にヒガシキリギリスは短い翅と多くの黒斑を持つのに対し、ニシキリギリスは長い翅を持ち、黒斑は1列程度かまったくないことが特徴です。さらに、オスは前翅に音を発する器官を持ち、メスは長い産卵器を有します。

バッタとの違い

キリギリスの体は比較的短く、体高が高くなっています。また、長い脚と触角を持ち、音を感じ取る器官は前脚の中ほどにあります。一方で、バッタと異なり、メスは尾部が長い産卵管になっており、脚には多数のトゲがあります。このトゲは雑食性を助け、時には他の昆虫を捕食することもあります。

生態

キリギリスは年1化で、成虫は夏に現れ、草むらに住みつきます。彼らは主に雑食で、特に小型の昆虫を捕食します。縄張り意識が強く、他の個体が侵入してきた際には攻撃を仕掛けることがあります。また、食性は植物性だけでなく、動物性タンパク質も重要で、成長や繁殖に必要不可欠です。

環境と生活史

キリギリスは日当たりの良い草原を好み、高い草に隠れて生活します。鳴き声で周囲にその存在を知らせる一方、危険を感じるとすぐに隠れます。卵は春に地中で孵化し、幼虫は成長するにつれて草本を食べ、小型昆虫を捕食するようになります。また、脱皮は特に夜間によく行われ、環境に適応するための重要なステップです。

飼育文化

キリギリスは日本の伝統的な虫のひとつで、古くから観賞用に飼育されてきました。特に江戸時代には、竹製のカゴに入れて飼育され、その虫の声は夏の風物詩となりました。現在では、飼育技術が向上し、プラスチックのケースや栄養価の高い餌を提供することで、より健康的に飼育されています。

まとめ

キリギリスは独特の生態と鳴き声を持つ昆虫であり、二つの主要な種が存在することが確認されています。今後の研究により、さらに詳しい分類や生態が明らかになることが期待されます。

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