キリスト・アデルフィアン派

キリスト・アデルフィアン派とは

キリスト・アデルフィアン派は、19世紀にアメリカで誕生したキリスト教系の新宗教です。その名称は、ギリシャ語の「キリストの兄弟姉妹」を意味する「adelphoi en Christou」に由来します。三位一体を否定し、イエス・キリストの人性・被造物性を強調する聖書的ユニテリアン主義、信仰によって永遠のいのちに入らない魂は消滅するという霊魂消滅説など、独自の教義を持っています。

世界120カ国に約55,000人の信者が存在すると言われています。

歴史

教義上の源流は2世紀のアリウス派や16世紀のソチニアニスムに遡ると考えられています。1845年頃、英国の外科医ジョン・トマスが復興主義運動に不満を抱いた人々とともにアメリカで創始しました。1848年にトマスが出版した『イスラエル共の希望』は、教団の声明となりました。南北戦争時には、良心的兵役拒否を認めてもらうため、「クリスタデルフィアン」という名称を政府に届け出ました。

英国では1870年から1900年まで急速に成長しましたが、その後分裂を経験し、成長が鈍化しました。1957年の再統合後、アメリカ、イギリス、オーストラリアで再び成長し始めました。

教義

キリスト・アデルフィアン派の教義は、バーミンガム修正信仰声明にまとめられています。主な教義は以下の通りです。

聖書は神の霊感によるもので、誤りがない。
三位一体の教義を否定する。
イエス・キリストは受肉以前には存在しなかった。
イエス・キリストは人の性質を共有する被造物であり、バプテスマによって清められた。
イエス・キリストは罪を犯さず、人類の救済のための犠牲となった。
聖霊は人格ではなく、神の力または神の精神を指す。
霊魂消滅説を唱え、地獄における永遠の苦しみを否定する。
キリストは千年紀の始まりに地上に来臨する。
千年紀の初めに死者が復活する。
悪魔は超自然的存在ではなく、人間の罪への傾きを指す。

主流派の教義との違いとして、霊魂の不滅、地獄の存在、三位一体、悪魔の存在などが否定されます。これらの主流派の教義は、異教的なギリシャ哲学の影響を受けて持ち込まれたものであり、聖書に根拠がないと主張しています。

構成

キリスト・アデルフィアン派は、各地方の集会（エクレシア）が自治を行うという、水平的な組織構造を持っています。牧師はおらず、教えは兄弟たちが順番に担当します。各集会は、以下の要素によって連携しています。

1. 共通の信仰声明
2. 共通の雑誌
3. サマーキャンプ、ウィンターキャンプ
4. 慈善活動への共同出資

社会との関わり

社会学者ブライアン・R・ウィルソンは、1958年から1959年にかけてキリスト・アデルフィアン派を調査し、「内向性のタイプのキリスト教」と分類しました。しかし、1957年の再統合後、19世紀の起源に特有であった外向性の活動に回帰しています。

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