キルギスの教育

キルギスの教育制度：義務教育から高等教育まで

キルギスの教育制度は、7歳から15歳までの9年間の義務教育を柱としています。この義務教育期間は、小学校4年間と中学校5年間で構成され、その後は、生徒たちは多様な進路を選択することができます。2年制の高等学校、高等専門学校、専修学校などへの進学が主な選択肢です。

キルギスの教育行政は、教育科学省（MES）が担っています。しかし、近年は予算削減の影響が深刻化しており、教員の給与減額や教育設備の不足が問題となっています。特に、女子生徒の減少が顕著であり、教育の公平性という点で大きな課題となっています。

2008年時点では、国内総生産（GDP）の3.7％が教育予算に充てられていました。2001年には7歳から15歳の人口の約89％が義務教育を受けていましたが、2000年代前半にはこの数値が減少傾向にあります。それでも、2004年の識字率は98.7％と非常に高い水準を維持しています。

教育組織：就学前教育から高等教育まで

就学前・初等教育

3歳から6歳または7歳までの子供たちを対象とした就学前教育は、義務教育ではありません。しかし、就学前教育の普及は進んでおらず、2005年の純就学率はわずか10％でした。小学校入学年齢は通常6歳または7歳で、4年間の小学校教育は義務教育です。2007年以降、小学校の制服着用が義務化されましたが、制服購入の経済的負担が、入学を妨げる要因になっていると指摘されています。小学校教育の質については、国際的な評価において低いとされる場合もあります。例えば、2006年のOECD生徒の学習到達度調査（PISA）では、キルギスは読解力、数学、理科の全てにおいて最下位でした。

中等教育

中等教育は、まず4年間の前期中等教育から始まります。これは義務教育です。その後、生徒たちは総合教育か職業教育のどちらかを選択できます。

総合教育は2年間のカリキュラムで、修了すると大学進学に必要な「attestat」と呼ばれる修了証が発行されます。

職業教育には3種類のコースがあります。3年間のコースは職業教育と総合教育を両方受け、高等教育への準備もできます。2年間のコースは職業教育と総合教育を両方受けますが、高等教育への準備は含まれません。10か月間のコースは、純粋な職業教育に特化しており、大人も受講可能です。職業教育は高等専門学校や専修学校で行われます。

高等教育

キルギスの高等教育は、大学、専門学校、専門高等教育機関、学会で行われています。54校の高等教育機関があり、そのうち33校が国公立、21校が私立です。2011年から2012年にかけての高等教育就学率は12.5％でした。

大学は4年制で、卒業時には学士号（Bakalavr）が授与されます。学士号取得者は、2年制の修士課程（Magistr）に進学できます。あるいは、医学部や建築学部では6年間、その他の学部では5年間学ぶことで「専門家」の学位を取得することも可能です。修士号または「専門家」学位を取得すれば、博士課程（aspirantura）に進学できます。

専門学校は、自然科学系の分野で大学と同様の学位を授与しています。学会は大学の専門的な支部であることが多いです。専門高等教育機関は、特定の専門分野に特化した教育機関です。

キルギスの大学の教員の質については、懸念の声が上がっています。大学教員には修士号以上の学位が求められるものの、実際には学士号しか持たない、あるいは学位を持たない教員も少なくないのが現状です。

キルギスの教育制度は、義務教育の充実と質向上、高等教育へのアクセスの拡大、そして教員の資質向上など、多くの課題を抱えています。これらの課題への対応が、キルギスの未来を担う人材育成にとって極めて重要です。

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