キルリアン写真

キルリアン写真とは

キルリアン写真（Kirlian photography）は、特定の高周波・高電圧を利用して、物体から発生するコロナ放電による光の現象を捉えたものです。撮影に使用される条件は、一般的に周波数が約3kHz、電圧が30kV以上となります。この技術は、水分を含む生物や物体から発せられる水蒸気の電離現象を撮影するため、対象物は生物に限らず、僅かに汗をかいたコインさえも利用することができます。ただし、真空中では水蒸気が急速に拡散するため、画像を取得することは不可能です。

発見の経緯

この技術の発見には、ニコラ・テスラが関与していました。彼はテスラコイルを使って生体からのコロナ放電を観察していますが、その重要性は当時は認識されることがありませんでした。大きな関心を持たれることなく、時が経つにつれて彼の発見は忘れ去られていました。

一般にこの技術が注目を浴びたのは、1939年にロシアの電気技師セミョーン・ダヴィードヴィチ・キルリアンとその妻ヴァレンティナによるもので、彼らは生物体が放つエネルギーを色鮮やかに捉えた写真シリーズを発表しました。特に、しおれた葉の周辺に見られる光の変化についての観察が行われ、葉が死ぬ過程でエネルギーの放出が減少する様子が詳述されています。この画期的な発表により、夫妻はレーニン勲章を受賞しました。

実験と検証

キルリアン夫妻の発見に続く研究では、著述家リチャード・スズマンスキーが、フィルムに触れた指の表面積と圧力がコロナの大きさに影響を与えることに気づきました。また、科学者のジョン・ピーヘックを含むチームがさらに実験を重ね、コロナの形や大きさは被写体の健康状態には関係がなく、高電圧と湿度の影響で変わることを明らかにしました。これにより、科学的にはあくまでも物理的な現象であることが示されたのです。

この技術は現在では癌の早期発見を目指す研究にも利用されており、一定の期待を寄せられています。特に、切り取った木の葉の形状を再現する「ファントムリーフ現象」に関しては、旧ソ連で研究が進められていますが、再現性は乏しく、観測結果については様々な仮説が存在します。例えば、葉の切り口から放出される水蒸気が元の形状を形成するものであるとされる説や、葉の水分が電極板に残っているために似た形を維持するのではないかという説があります。

まとめ

キルリアン写真は、物理的な原理を利用して生物や物体から発せられるエネルギーを視覚化する方法の一つで、その歴史や研究は非常に興味深いものです。今後の研究により、さらに多くの真実が明らかになることが期待されています。

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