キレンゲショウマ

キレンゲショウマ（黄蓮華升麻、学名：Kirengeshoma palmata Yatabe）は、アジサイ科キレンゲショウマ属に分類される多年草です。その名前は、同じく山野に咲く美しい花であるレンゲショウマに似ていることに由来しますが、レンゲショウマがキンポウゲ科に属するのに対し、キレンゲショウマはアジサイ科に属するという点で異なります。

キレンゲショウマは、日本固有の植物であり、紀伊半島、四国山地、九州山地のブナ林などの比較的湿った場所に自生しています。草丈は80センチメートルから120センチメートルほどに成長し、光沢のある掌状の葉が特徴的です。これらの葉は対生しており、茎から左右対称に生えています。開花期は8月で、葉の腋から円錐状の花序を伸ばし、その先に黄色い5枚の花弁を持つ花を咲かせます。花の中央には15本の雄しべと3本の雌しべが見られます。

環境省のレッドリストでは、キレンゲショウマは絶滅危惧II類（VU）に指定されており、その生育環境の保護が課題となっています。同じキレンゲショウマ属には、近縁種としてKirengeshoma koreana Nakaiも存在します。

キレンゲショウマは、その美しい姿から多くの人々を魅了し、文学作品にも登場しています。宮尾登美子の小説『天涯の花』は、徳島県の剣山を舞台にキレンゲショウマをテーマにした作品で、NHKでドラマ化された際には須藤理彩が主演を務めました。また、松たか子主演で舞台化もされ、多くの人々に感動を与えました。

キレンゲショウマは、その美しい花だけでなく、その生育環境や絶滅の危機に瀕しているという点でも、注目すべき植物です。自然の中でひっそりと咲くその姿は、私たちに自然の美しさと大切さを教えてくれます。

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