キングフィッシャー (小売業)

キングフィッシャー：DIY市場をリードする国際小売企業

キングフィッシャーは、イギリスを拠点とする世界的な小売企業グループです。ヨーロッパを中心に10カ国で約1,280店舗を展開し、78,000人を超える従業員を擁する巨大企業です。かつては多様な小売事業を手掛けていましたが、現在はDIY（日曜大工）市場に事業を集中させています。ロンドン証券取引所に上場しており、その動向は世界経済にも大きな影響を与えています。

創業から多角化、そしてDIYへの特化

キングフィッシャーの歴史は、1982年、パタノスター・ストアーズ社によるウールワース・グループの買収に始まります。その後、社名をウールワース・ホールディング社に変更し、積極的な買収戦略を展開しました。B&Q（DIYチェーン）、スーパードラッグ（薬局）、コメット・グループ（電器量販店）、MVC（レコード販売）など、多様な小売事業を傘下に収めて急速に成長を遂げ、1989年には社名をキングフィッシャーに変更しました。

その後も、カストラマ（フランス）、BUT（フランス）、ヴェゲルト（ドイツ）など、ヨーロッパの有力小売企業を買収し、イギリス最大の小売業チェーンへと成長を遂げます。1999年には、イギリス最大のスーパーマーケットチェーンASDAの買収にも挑戦しましたが、アメリカのウォルマートに阻まれました。

2000年代に入ると、カストラマの支配権を巡る争いや株価の圧力など、様々な困難に直面します。その結果、2001年にはウールワースを含むグループの分割を余儀なくされ、2003年には電器量販事業を「KESA」グループとして分割独立させました。この一連の再編を経て、キングフィッシャーは現在のDIY事業に特化した経営体制へと移行していったのです。

現在の事業展開

現在、キングフィッシャー・グループは、DIY市場をグローバルに展開しています。主要な事業としては、以下のものが挙げられます。

B&Q: イギリスで展開する主要なDIYチェーンです。幅広い商品と充実したサービスを提供し、イギリスのDIY市場をリードしています。
カストラマ (Castorama): フランス、イタリア、ポーランド、ロシアなどで展開するDIYチェーンです。地域に合わせた商品展開で、それぞれの市場で高い人気を誇ります。
ブリコ・デポ (Brico Dépôt): フランスとスペインで展開する、価格競争力の高いDIYチェーンです。コストパフォーマンスを重視する消費者から支持されています。
スクリューフィックス・ダイレクト (Screwfix Direct Ltd.): オンラインを中心としたDIY工具の販売事業です。迅速な配送と豊富な品揃えが強みです。
KOCTAS: トルコで展開するDIYチェーンです。トルコ市場のニーズに合わせた商品とサービスを提供しています。
ホーンバッハDIY (Hornbach DIY): キングフィッシャーは、このドイツのDIYチェーンの21%の株式を保有しています。戦略的なパートナーシップを通じて、市場での競争力を高めています。

キングフィッシャーは、多様なブランドとグローバルな展開を通じて、DIY市場におけるリーダーとしての地位を確立しています。今後も、新たな技術や顧客ニーズに対応しながら、更なる成長を目指していくことでしょう。

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