キーレーン

キーレーン（CHYREN）について

キーレーン、正式にはロシアオウム真理教シンフォニー・オーケストラキーレーン（Aum Shinrikyo Russian Symphony Orchestra CHYREN）は、オウム真理教に属するオーケストラです。1992年に設立され、教団の信者だけでなく高額の報酬を求めて集まった音楽家たちによって構成されていました。オーケストラの名称はノストラダムスの予言詩に由来し、「千の王国」や「子羊たるキリスト」を意味しています。

設立と構成

オウム真理教は、ソビエト連邦崩壊後のロシアに進出し、1992年11月にはモスクワ支部を設立しました。その際に、オーケストラ「キーレーン」が創設されました。当初から団員は高額な契約金で集められ、年間で138万ドル（約1億4000万円）という大金が必要とされました。この金額は、当時のロシアの演奏家の平均年収の5倍から6倍に相当し、多くの音楽家が集まる要因となりました。

演奏活動

キーレーンは、ピョートル・チャイコフスキーの作品など、一般的なクラシック音楽のレパートリーを持つ一方、オウム真理教の自己制作楽曲も演奏しました。麻原彰晃自身がしばしば指揮を務めることでも知られ、彼が作曲した曲も多く演奏されました。

1993年と1994年の二度にわたり、日本で公演を行い、全体で12回の演奏をしました。公演中、団員はサマナ服を着用し、演奏スタイルも様々でしたも、時には指揮者が異なる服装をしていることもありました。特に注目されるのは、団員が山梨県の道場で教祖の教えを受けることが義務付けられていた点です。

元団員の証言によると、麻原は団員に対して特別な儀式を行い、その結果体調を崩した者もいたため、帰国後に教団に対し損害賠償を求める動きも出ました。

レパートリーと指揮者

キーレーンの演奏曲には、麻原彰晃名義で発表された管弦楽曲が中心となり、数々の交響曲や楽器劇が含まれます。特に有名な作品には、「大交響曲『キリスト』」や「交響曲第2番『御国の福音』」、さらには「ピアノ協奏曲『道』」などがあります。

オーケストラの指揮者には、麻原彰晃をはじめ、鎌田紳一郎、ウラジーミル・クドゥリャなどが名を連ねていました。それぞれの指揮者は、オーケストラの活動に重要な役割を果たしていました。

消滅

しかし、1995年のオウム真理教による事件が発覚した際、ロシア政府はモスクワの支部を閉鎖しました。この決定に伴い、キーレーンは自然に消滅していくことになります。

まとめ

キーレーンは、オウム真理教の中でも特異な音楽活動を展開したオーケストラであり、当時のロシアにおける宗教の自由さを象徴する存在でもありました。その背景にある音楽的活動や教団の運営は、今なお多くの議論を生んでいるのが現状です。

もう一度検索