キ111 (航空機)

キ111 輸送機の概要

キ111は、第二次世界大戦中に日本陸軍が試作を試みた輸送機で、日本国際航空工業（日国）が開発を担当しました。この航空機は、戦争後期に至るまでの厳しい情勢の中で、主に南方戦線の燃料輸送を目的として設計されました。

背景

戦争が進むにつれて、特に1944年（昭和19年）にはアメリカ軍の潜水艦による作戦が活発化し、日本側の対潜能力が不足していたため、海上輸送は非常に難しくなりました。これに対応するため、陸軍航空技術研究所は、木製燃料輸送機を用いた計画を立案し、南方から必要な燃料を効率的に運ぶ手段を模索しました。

当初の計画では、三菱製の「ハ214」エンジンを搭載した全備重量27,000 kgの新しい機体が想定されていましたが、戦局の悪化に伴いこの計画は中止されました。そこで、輸送用滑空機であるク8IIIの設計を基にした新たな案が採用されることになりました。

設計と仕様

キ111の設計は、ク8IIIの胴体部分を基にしておりますが、全体としては大型化され、さらなる輸送能力へと進化しました。この機体は双発の低翼単葉の構造を持ち、最大で3,000 kgの燃料タンクがセロファンで作られ、航続距離を確保するための工夫がされていました。

1945年度には、合計100機の量産が予定されていましたが、戦局のさらなる悪化によって、結局この機体は実際に製作されることはありませんでした。

技術的な諸元

• - 全幅: 35.60 m
• - 全長: 24.00 m
• - 主翼面積: 126.0 m²
• - 自重: 11,500 kg
• - 全備重量: 24,000 kg
• - エンジン: 三菱 ハ211 （空冷複列星型18気筒） × 2（離昇2,200 hp）
• - 最大速度: 423 km/h（高度5,000m、推算値）
• - 航続距離: 12,500 km
• - 乗員: 3名

参考文献

この機体に関する参考資料として、橋立伝蔵の『日本陸軍機キ番号カタログ』や、野沢正の『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』などが挙げられます。特にこれらの文献は、日本陸軍の航空機を理解する上で貴重な情報源となっています。

関連項目

航空機の設計に関する他の情報として、キ105という機体も同じく日本陸軍の試作機として知られています。これらの機体は、日本の航空技術の発展の一端を担っていたことが伺えます。

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