キ112 (航空機)

キ112: 大日本帝国陸軍の未実現爆撃機計画

キ112は、第二次世界大戦中の日本で、大日本帝国陸軍によって企画された爆撃機です。この機体は、三菱重工業に試作の指示が出され、1944年の前半に基礎研究が始まりましたが、実際の製作には至りませんでした。

機体の特徴と設計思想

キ112は、四式重爆撃機（キ67）の木製化を目的として計画されたものであり、その原型はキ67IIにあたります。しかし、他の資料ではこの機体が近距離爆撃機としての役割を持つことにも言及されています。木製化の計画では、より軽量で高効率な設計が求められており、航空機材の供給や生産効率も考慮されていました。さらに、固定武装については、強化された20mm機関砲ホ5を3門搭載することが検討されていました。

エンジンの選定と計画の混乱

当初の計画では、三菱重工業は自社製の空冷星型18気筒エンジン「ハ214フ」または「ハ211フ」を搭載することを予定していました。これらのエンジンはそれぞれ、離昇出力が2,300馬力と少し劣りますが、信頼性の高いエンジンとして評価されていました。しかし、1944年10月に陸軍から新たな命令が下されたことで、エンジンをより強力な「ハ214ル」（離昇出力2,500馬力）に変更する必要が生じました。

このエンジン変更に関して、三菱側は技術的に困難であるとして反対の意見を述べました。この意見の相違は開発プロセスを停滞させ、最後には計画全体が中止される結果となりました。実際に製作が進められることはなく、キ112は未完成のままその歴史の中に消えていったのです。

結論

キ112は日本の航空機産業が直面していた技術的課題や、戦争の激化に伴う資源不足の影響を色濃く反映した計画でした。このような試作機は、日本陸軍が求めていた戦闘能力の向上の象徴であり、当時の技術力や設計思想を探る上で重要な要素となっています。未完成に終わったキ112の計画は、日本の航空機技術の発展とその限界を示すものとして、今なお注目されています。

参考文献

1. 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年。
2. 佐原晃『日本陸軍の試作・計画機 1943〜1945』イカロス出版、2006年。
3. 歴史群像編集部 編『決定版 日本の陸軍機』学研パブリッシング、2011年。

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