キ18 (航空機)

キ18：日本陸軍の試作戦闘機

概要

キ18は、日本陸軍が1930年代に試作した戦闘機で、この機体は三菱重工業によって設計・開発されました。陸軍のニーズに応えるため、海軍向けに試作された九試単座戦闘機を基にしており、性能向上を狙ったものでした。しかし、最終的には1機の試作機が製作されたのみで、不採用に終わりました。

1934年、陸軍は九五式戦闘機を正式に採用しましたが、同時に九試単座戦闘機の優れた性能にも注目しました。この性能を陸軍向けにアレンジしたのがキ18でした。1935年8月、試作機が完成し、立川航空技研と明野陸軍飛行学校で性能試験が行われました。

性能試査の結果

試験の結果、キ18は安定性や操縦性にいくつかの課題を抱えていたものの、速度や上昇性能に関しては非常に良好であると評価されました。特に、明野陸軍飛行学校ではその高い性能に満足し、さらに試作機の増産を望んでいました。しかし、立川航空技研の意見により、搭載していた寿エンジンの信頼性に問題があるとされ、最終的にキ18は不採用とされました。この決定は、三菱にとって大きな失望をもたらしました。

不採用の決定を受けて、三菱はその後、陸軍機の開発に対して消極的な姿勢を示すようになり、特にキ33の開発時にはその影響が顕著に見られました。このような背景は、陸軍と三菱との関係に微妙な影響を与える結果となりました。

スペック

キ18の具体的な性能スペックは以下の通りです。これにより、設計者たちが目指した戦闘機としての特性が明らかになります。

• - 全長：7.65m
• - 全幅：11.00m
• - 全高：3.15m
• - 主翼面積：17.8m²
• - 自重：1,100kg
• - 全備重量：1,422kg
• - エンジン：寿5型 空冷9気筒エンジン 600HP×1
• - 最大速度：444km/h
• - 武装：7.7mm機関銃×2
• - 乗員：1名

キ18は、当時の陸軍航空機の設計哲学を体現したものですが、唯一の試作機で終わったことが悔やまれます。試作機としての役割を果たしながらも、実用化には至らなかったその経緯は、戦闘機開発における複雑な選択と困難な判断を象徴しています。

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