キ60 (航空機)

キ60戦闘機について

キ60は、第二次世界大戦中に日本陸軍によって試作された珍しい戦闘機です。この機体は、川崎航空機によって開発され、設計を担当したのは土井武夫氏です。1939年、陸軍は欧米の最新鋭戦闘機に対抗するため、高速かつ重武装の本格的重戦闘機を求めました。これに応える形でキ60の開発が開始されました。

開発背景

このプロジェクトでは、機体に搭載するエンジンとして液冷式を選択し、川崎が開発を担当することが決まりました。しかしながら、日本国内では適切な液冷エンジンが見つからなかったため、ドイツ製のDB601Aエンジン（出力1,100hp）が選ばれ、輸入されることとなりました。このエンジンを搭載することで、発動機のトラブルによる不調が心配されることはなかったとされています。また、後続のキ61では国産エンジンのハ40が搭載され、こちらは一部の発動機トラブルを抱えることとなりました。

試作と性能

1941年3月に試作機が完成し、そのデザインは当時の日本の戦闘機とは異なる独特な特徴を持っていました。先細りの機首や、高速性能を求めた高い翼面荷重が施された機体に、武装としては12.7mmの機銃を2挺、20mmの機関砲を2門搭載しており、これが当時の日本の戦闘機の中では非常に強力な装備でした。

同年6月、Bf 109Eおよび中島製のキ44との比較試験が行われ、キ60は速度や操縦性において他の2機種に勝っていましたが、水平加速性能や旋回性では劣る結果となりました。しかし、フラップを使用しない場合には、キ60が格闘性能で優れていたと言われています。この時、DB601エンジンの整備に手間がかかることも判明したため、陸軍はキ44の開発を推進し、キ60の開発を中止することが決定されました。

生産とその後

キ60の総生産機数は試作機の3機のみでした。そのうちの2機は、キ44の増加試作機と共に独立飛行47戦隊に配備されましたが、実戦に出ることなく事故で失われました。残りの1機は、終戦時まで残存していました。また、別の製作所である萱場製作所製の実験用無尾翼機「ク4」も「キ60」という計画番号が付けられたという情報もあります。

要目

• - 全長: 8.40 m
• - 全高: 2.75 m
• - 全幅: 9.78 m
• - 主翼面積: 16.21 m²
• - 自重: 2,150 kg
• - 全備重量: 2,750 kg
• - エンジン: ダイムラーベンツ DB601A 出力 1,100hp
• - 最大速度: 560 km/h
• - 実用上昇限度: 10,000 m
• - 武装: 12.7mm機関銃×2、20mm機関砲×2

キ60の開発は短期間であったものの、当時の技術水準や戦闘機の要求を反映した重要な試みであったと言えます。

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