キ8 (航空機)

キ8 - 日本陸軍の試作戦闘機

キ8は、日本陸軍が第二次世界大戦前に試作した単発・単葉・複座の戦闘機です。設計と製造を担当したのは中島飛行機であり、本機の開発は1930年代の戦闘機の進化を反映したものとなっています。キ8はその名の通り、陸軍の要求に応える形でデザインされましたが、最終的には不採用に終わりました。

開発の背景

1930年代、欧米各国では戦闘機の開発が活発に行われており、特に単発・複座戦闘機が注目を集めていました。これに触発された中島飛行機は、自主的に単発・複座の戦闘機、すなわちキ8の開発に着手しました。このプロジェクトは昭和9年（1934年）から昭和10年（1935年）にかけて進行し、合計5機の試作機が製造されました。

設計と特徴

キ8は、全金属製構造を持つ単葉機で、固定脚のデザインを採用しています。特に注目すべきは、主翼が逆ガル式である点です。試作段階では、風防やエンジンカウリングが複数のタイプで試験され、性能向上が図られました。

試験飛行では、一般的な飛行性能が九一式戦闘機に匹敵することが確認されましたが、いくつかの重要な問題も浮上しました。特に、機体の安定性が不足していることや、機体各部に不具合が見つかったことで、陸軍内での評価は芳しくなかったのです。実際、試験中には垂直尾翼の破壊事故も発生し、試作機の5号機には垂直尾翼に背鰭を追加して対応するなどの改修が必要とされました。

不採用の理由

陸軍の運用方針が明確でなかったこともキ8が不採用となる一因でした。陸軍では、単発・複座の戦闘機の運用方針についての決定が行われておらず、仮にキ8が正式に採用されても、実際に運用するシナリオが見込まれていませんでした。このような状況の中で、最終的にはキ8の試作機5機の製造が終了し、その後は連絡用機材として使用される形になりました。

スペック

• - 全長: 8.17 m
• - 全幅: 12.88 m
• - 全高: 3.57 m
• - 自重: 1,525 kg
• - 全備重量: 2,111 kg
• - エンジン: 中島「寿」3型 空冷9気筒エンジン 550HP×1
• - 最大速度: 328 km/h
• - 航続距離: 1,000 km
• - 武装: 7.7mm機関銃×3
• - 乗員: 2 名

まとめ

キ8は、その設計理念や技術的な挑戦が興味深いものの、運用方針の不明確さと安定性の問題から、正式採用には至りませんでした。日本の航空機技術の歴史の中では重要な試作機として位置付けられています。

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