キ88 (航空機)

キ88戦闘機についての詳細

キ88は、第二次世界大戦の渦中に日本陸軍が開発を試みた戦闘機です。製造は川崎航空機工業が担当し、独自の設計が盛り込まれていました。1942年8月、日本陸軍は戦争の進展に伴い、高度な防空能力を持つ戦闘機の必要性を痛感しており、川崎はこれに応じて新しい機体の研究を進めました。その結果、キ88としての試作が命じられました。

この機体は、液冷式の「ハ140特」エンジンを搭載した単発の設計で、エンジンが胴体の中央に配置されるという独特な形式を採用しています。プロペラは延長軸を通じて回転し、このデザインにより機首に大口径の機関砲を装備することが可能となりました。アメリカ空軍のP-39エアラコブラから多くを参考にしていますが、キ88は尾輪式の降着装置を採用しているのが特徴です。冷却器はキ61-IIから流用され、主翼も同機を基に大型化した形で使用されています。

機体の設計は、当時の日本製戦闘機としては異例の重武装が施されており、機首に37mm機関砲を1門、さらに20mm機関砲を2門配備する予定でした。これにより、キ88は敵機との接触時に高い攻撃力を発揮することが期待されていました。

キ88の開発は順調に進み、1943年6月には設計が完了しています。試作機のモックアップも迅速に完成し、試作段階に入った時点で2機の試作機と10機の追加試作機が計画されていました。しかし、新機軸を多く盛り込んだこの設計は、実用化に向けてさまざまな課題を抱えていると考えられ、最終的には陸軍の統合整理の影響を受けて1943年10月に開発が中止されました。その後、9月には試作1号機の主翼と胴体が完成し、組み立ても最終段階に差し掛かっていたものの、計画は頓挫しました。

また、排気タービンを備えた「ハ140甲」エンジンを搭載する改良型としての「キ88改」も計画されていました。この機体は最大速度690km/hを達成することが見込まれており、3機が製造される予定でしたが、こちらもキ88と同様に開発は中止されています。

スペック

• - 全長：10.20 m
• - 全幅：12.40 m
• - 全高：4.15 m
• - 主翼面積：25.00 m²
• - 自重：2,950 kg
• - 全備重量：3,900 kg
• - エンジン：川崎 ハ140特 液冷倒立V型12気筒（離昇出力 1,500 hp） × 1
• - 最大速度：600 km/h
• - 実用上昇限度：11,000 m
• - 航続距離：1,200 km

武装

• - 37mm機関砲 × 1（プロペラ軸内装備）
• - 20mm機関砲 × 2
• - 乗員：1名

このように、キ88は当時としては革新的な設計を持った戦闘機であり、その開発過程には多くの期待と困難が伴っていました。今もなお、その存在について語られることがある機体です。

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