クォーター (紋章学)

紋章学におけるクォーターとカントン

紋章学において、クォーターとカントンはシールド（盾）に配置される重要なチャージ（図形）です。これらは紋章の構成要素として、家系や個人の歴史、地位などを象徴する役割を果たします。

クォーター (Quarter)

クォーターは、シールドの向かって左上の角、すなわちデキスター・チーフに配置される方形のチャージです。英語の "quarter" が4分の1を意味するように、本来はシールドの面積の4分の1を占めます。ただし、他のチャージと組み合わせて使用する場合は、やや小さめに描かれることがあります。

クォーターは単独で使用されることは少なく、既存の紋章に追加する形で用いられます。特に、婚姻や縁組などによって複数の紋章を統合する「マーシャリング」においては、重要な単位となります。

カントン (Canton)

カントンもクォーターと同様に、シールドの左上の角に配置される方形のチャージですが、クォーターよりも小さいのが特徴です。一般的に、カントンはシールドの9分の1の面積を占めます。

一部の紋章官は、カントンを「高貴なるオーディナリー」とみなすことがあります。これは、盾を構えた際に利き腕の上部に来る位置に配置されるため、名誉ある場所と考えられたためです。シールドの右上に配置されるカントンは「カントン・シニスター」と呼ばれます。

クォーターとカントンの混同

初期の紋章においては、クォーターとカントンの区別が曖昧で、同じ意味で使用されることもありました。しかし、20世紀以降は、アーサー・C・フォックスデービスらの研究によって明確に区別されるようになりました。

クォーターに関する用語

クォータリー (Quarterly)

クォータリーは、シールドを十字に4分割することを意味します。クォータリーの後にティンクチャー（色）を2つ指定した場合は、1つ目のティンクチャーが左上と右下の領域に、2つ目のティンクチャーが右上と左下の領域に適用されます。

クォータリーの後に紋章記述を続けた場合は、4分割されたフィールドそれぞれに対応する紋章記述を記述します。これは、マーシャリングされた紋章によく見られる形式で、各フィールドに異なる家系の紋章を表します。

グランド・クォータリー (Grand-quarterly)

グランド・クォータリーは、クォータリーで分割したフィールドを、さらにクォータリーで分割することを意味します。より複雑な紋章構成を表す際に用いられます。

まとめ

クォーターとカントンは、紋章学においてシールドを飾る重要なチャージです。これらのチャージは、紋章全体の構成や意味合いを大きく左右します。クォータリーやグランド・クォータリーといった関連用語を理解することで、紋章の奥深さをより深く知ることができるでしょう。

紋章は、単なる装飾的な図案ではなく、歴史や文化を反映した貴重な情報源です。紋章を通じて、過去の人々の生活や価値観に触れてみてはいかがでしょうか。

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