クズネツォフ NK-12

NK-12 ターボプロップエンジンの詳細

NK-12（クズネツォフNK-12）は、1950年代のソビエト連邦で開発されたターボプロップエンジンです。このエンジンは、8枚のプロペラを持つ2重反転プロペラを駆動し、特にその出力と性能の高さで知られています。NK-12MVの重量は1,155kg（2,540lb）、全長は6.2m（20.4ft）と大きなサイズを誇り、直径は5.6m（18.4ft）に達します。

開発の背景

NK-12エンジンは、第二次世界大戦後にドイツのユンカース社からソビエトに連行された技術者フェルディナント・ブランドナーのもとで原型が開発されました。彼は、戦時中に開発が進められていた出力6,000hp、重量3,000kgのユモ012エンジンの設計を基に取り組みました。1947年には、5,000ehpで1,700kgのエンジンが完成され、その後新たな合金技術を用いることで1951年に出力12,000ehpのTV-12エンジンが開発されました。

設計の特徴

NK-12シリーズは、NK-12M、NK-12MV、NK-12MAというモデルがあり、それぞれ最高出力が異なります。NK-12Mで8,948kW（12,000ehp）、NK-12MVは11,033kW（14,795ehp）、さらにNK-12MAは11,185kW（15,000ehp）に達します。このエンジンは、これまでに製造されたターボプロップエンジンとして最大出力を誇ります。圧縮機は14段式の軸流であり、高度に応じて圧縮比が9:1から13:1まで変化します。空気流量は1秒間に65kg（143lb）で、これはエンジンのパフォーマンスに不可欠な要素です。

燃焼室とタービン

燃焼室はカニュラ型で、各燃焼管の噴射装置の下流に位置しています。後部はアニュラ型となっており、同軸の反転プロペラと圧縮機は5段の軸流式タービンによって駆動されます。この構造により、エンジンは最高の効率を保ちながら高出力を実現しています。

運用データ

NK-12MVエンジンは、Tu-95爆撃機やその発展型であるTu-142哨戒機、Tu-114旅客機に搭載されています。これらの機体は実用機として最速のプロペラ機の一つとされており、航空界での重要性が際立っています。また、NK-12MAはAn-22輸送機に使用されており、さまざまな航空機に搭載されています。

その他の搭載機

• - A-90 オリョーノク（地面効果翼機）
• - アントノフ An-22
• - ツポレフ Tu-95
• - ツポレフ Tu-114
• - ツポレフ Tu-126
• - ツポレフ Tu-142
• - アイスト型エアクッション揚陸艇

エンジンのバリエーション

NK-12にはいくつかの異なる型式があります。以下に代表的なモデルを示します。

• - NK-12: 初期開発モデル。12,500 hp (9,300 kW) で、Tu-95とTu-114に使用。
• - NK-12M: 12,000 hp (8,950 kW) で、Tu-114に使用。
• - NK-12MV: 14,795 hp (11,033 kW) の型式で、Tu-95、Tu-126、Tu-142に使用。
• - NK-12MA: 15,001 hp (11,186 kW) で、An-22に使用。
• - NK-12MK: 5.6m径（18ft 4in）仕様、A-90 オリョーノク用。
• - NK-12MP: 最新バージョンで、Tu-95MS、Tu-142Mに使用。
• - NK-12MPM: アップグレードバージョン、出力向上を目指す開発中のモデル。

まとめ

NK-12ターボプロップエンジンは、その高い出力と性能により、多くの航空機に採用されてきました。近代的な合金技術と複雑な設計が一体となり、航空機の性能を大きく向上させています。依然として運用されるこのエンジンは、航空エンジニアリングの歴史において重要な地位を占めています。

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