クライシス・オン・インフィニット・アース

『クライシス・オン・インフィニット・アース』（原題：Crisis on Infinite Earths）は、アメリカのコミック界に革命をもたらした重要な作品であり、1985年から1986年にかけてDCコミックスから刊行されました。著者マーブ・ウルフマンと画家ジョージ・ペレスによって、全12号のシリーズとして制作され、同名のクロスオーバーイベントの核心を成しています。その内容は、DCの多元宇宙に潜む危機を描き出し、数百名ものキャラクターが登場する壮大な物語の中で、多くのヒーローが戦い、命を賭けていく様子が描かれます。

作品の背景

当時のDC作品は多次元的な設定を採用していましたが、これが読者にとって分かりづらい要因ともなっていました。ウルフマンは、新しく理解しやすい単一のユニバースを構築しようという目的からこの作品を企画しました。作品の初期に登場したモニターというキャラクターは、この物語の指導者として機能し、DCのヒーローたちを組織して危機に立ち向かわせる役割を担っています。

作品からは、邪悪な存在アンチモニターが多元宇宙の地球を次々と消滅させる様子が描かれます。モニターはヒーローたちを呼び寄せ、彼らが連携してこの大いなる敵に立ち向かう姿がクライマックスとなりますが、物語は多くの意外な展開を見せ、名キャラクターの死も起こります。本作のストーリーの中で、スーパーガールやバリー・アレン（フラッシュの二代目）といった主要キャラクターが命を落とす様子は、衝撃的な印象を読者に与えました。

刊行の経緯

1984年の段階では、このクロスオーバーがDCの50周年を祝う一環として大規模なプロジェクトであることが予告されました。全体像が描かれたプロジェクトは、ウルフマンが参加した編集者やライターたちによって協力して作り上げられていったのです。その結果、本作は多くのヒーローが一堂に会する機会を提供し、後のクロスオーバーブームの先駆けとなるものとなりました。

ストーリーの流れ

作品のスタートでは、地球を消滅させる無情な現象が起こり、その様子を見逃したパライアが自分の罪を嘆くシーンから始まります。逐次的に、様々な地球での出来事が複雑に織り交ぜられ、多くのヒーローやヴィランがこの危機に巻き込まれていきます。モニターの指導のもと、彼らは協力しながらも、信じられないような戦闘や裏切りに直面し、命を懸けた戦いを展開します。そして、最終的にはヒーローたちが結集してアンチモニターと対峙する姿が描かれ、単一の地球が誕生する場面で物語が結末を迎えます。

影響と評価

『クライシス・オン・インフィニット・アース』は、読者や批評家から高く評価され、シリーズの販売は大成功を収めました。この作品がアメリカン・コミックに与えた影響は計り知れず、以後大規模なクロスオーバーが一般的になるきっかけにもなりました。その後も、作品中で描かれた設定やキャラクターは様々な形で再利用され、DCユニバースにおける重要な位置を占め続けています。

DCコミックスのヒーローたちが通じる壮大なスケールの物語は、アメリカのコミック文化において新たな時代を築く原動力となりました。続編として『インフィニット・クライシス』や『ファイナル・クライシス』が続き、これら三部作がDCユニバース全体の統一感を強化していきました。作中の出来事やキャラクターたちの冒険は、後の世代にも影響を与え、DCの伝説的なストーリーの一部として語り継がれています。

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