クライペダ地方

クライペダ地方（メーメルラント）

クライペダ地方（リトアニア語: Klaipėdos kraštas、ドイツ語: Memelland）は、第一次世界大戦後のヴェルサイユ条約によって定められた地域です。かつてのドイツ帝国、東プロイセン州の最北部に位置し、当時はメーメルラントとして連合国大使会議の管理下に置かれていました。

歴史

ヴェルサイユ条約

1422年のメルノ条約以来、プロイセン（1871年以降はドイツ帝国の一部）の東方国境は変わっていませんでした。しかし、第一次世界大戦後にポーランドとリトアニアが新たに独立したことで、この国境線が議論の対象となりました。

1918年には、プロイセン領リトアニアとリトアニア本国の統合を求めるティルジット法が、親リトアニア派のリトアニア人によって署名されました。しかし、プロイセン領リトアニア人の大半はリトアニアとの統一を望んでいませんでした。

ポーランドのユゼフ・ピウスツキは、ヴェルサイユ会議において、ドイツ領ネマン川（メーメル川）の下流部とそのデルタをリトアニアに与え、リトアニア自体はポーランドに組み込むという構想を推進しました。この構想はフランスのジョルジュ・クレマンソー首相も支持していました。

1920年、ヴェルサイユ条約により、メーメル川以北のドイツ領は連合国大使会議の管理下にある「メーメル領」となり、フランス軍が派遣されました。フランス統治下では、独立国メーメルラントの構想が地元住民の間で高まりました。ドイツ・リトアニア祖国連盟は、後にドイツに返還されるべき「メーメルラント自由国」という考えを提唱し、ドイツ人とリトアニア人合わせて約3万人の会員を集めました。

リトアニアによる奪取

1923年、クライペダ反乱の際にリトアニア民兵がメーメルラントを占領し、リトアニアに併合しました。この事態は1924年に大使会議によって承認されました。

ドイツの最後通牒

1930年代後半になると、リトアニアはクライペダ地方の情勢を制御できなくなっていました。1939年3月、ドイツはリトアニアに対し、メーメル地方の割譲を要求する最後通牒を突きつけました。リトアニアはこれを受け入れざるを得ず、メーメルはドイツに割譲されました。

ドイツ軍はリトアニアによる正式な批准前に領土を占領しました。イギリスとフランスは、1923年の反乱後と同様に、この事態に対して何ら行動を起こしませんでした。リトアニアは、ドイツが他の領土を要求しないことを願いながら、条約を承認せざるを得ませんでした。

ドイツへの再統合は、ドイツ人とメーメルラント人の大多数に歓迎されました。しかし、リトアニア国籍を希望した人々の多くは認められず、また、1923年から1939年の間にメーメル地方に移住したリトアニア人は移住を余儀なくされました。同時に、ドイツは地元のユダヤ人やプロイセンのリトアニア人などを追放しました。

現在

現在、旧メーメルラントはクライペダ郡とタウラゲ郡の一部としてリトアニアが支配しています。

関連項目

クライペダ
リトアニア＝白ロシア・ソビエト社会主義共和国
中部リトアニア共和国
ヴィリニュス

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