クリエイション・レコーズ

クリエイション・レコーズは、1983年にアラン・マッギーによってイギリスで産声を上げた独立系の音楽レーベルです。その活動期間を通じて、数々の革新的なアーティストを発掘し、ブリティッシュ・ロックシーン、特にインディーズ界に多大な影響を与えました。オアシス、プライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインといった、後に世界的な評価を得るバンドたちがこのレーベルから作品を発表しました。クリエイション・レコーズは、単なるレコード会社ではなく、一種のコミュニティであり、独特の美学と熱意を持ったレーベルとして知られています。

独立から変化へ

設立当初は完全に独立した立場で活動していましたが、その規模が拡大するにつれて、特に所属アーティストの成功に伴う資金需要などから経営面での課題に直面します。1990年代に入ると、財政的な困難が表面化し、レーベルの将来に影響を及ぼすようになります。この状況を打開するため、1992年9月には大手レコード会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントとの提携を選択します。この契約により、クリエイション・レコーズはソニーに株式の49%を売却し、その運営の一部がソニーの傘下に入ることとなりました。この変化は、レーベルが当初掲げていた純粋なインディーズ精神を希薄化させる一因となったとも言われています。

活動の終焉

ソニーとの提携後も活動は続けられましたが、創設者であるアラン・マッギーをはじめとする主要人物たちの間で、レーベルの方向性や運営に関する考え方に変化が生じ始めます。そして、1999年11月、アラン・マッギーらはクリエイション・レコーズからの離脱を表明します。これに伴い、ソニーに残りの資産も売却し、レーベルとしての活動は終了を迎えました。設立から約16年間の歴史に幕を下ろしたのです。

レーベルを支えた人々

クリエイション・レコーズの成功と個性は、それを支えたキーパーソンたちの存在抜きには語れません。

アラン・マッギー: レーベルの創設者であり、文字通りその中心人物でした。彼の鋭い嗅覚と情熱が、多くの才能を見出す原動力となりました。学生時代からの友人であるボビー・ギレスピー（プライマル・スクリーム）との関係性は有名です。彼自身もビフ・バン・パウというバンドを率い、自身のレーベルから作品をリリースしていました。クリエイションの活動終了後も音楽業界に留まり、ポップトーンズという新たなインディーズ・レーベルを立ち上げています。
ジョー・フォスター: アラン・マッギーと共にクリエイションを立ち上げた人物の一人です。マッギーが彼のバンドのファンだったことがきっかけで協力関係が生まれました。初期のクリエイション作品の多くでプロデューサーを務め、そのサウンド形成に貢献しました。また、レーベル内では再発専門レーベル「レヴ・オラ」を主宰し、カタログの管理にも尽力しました。スローター・ジョー名義でのソロアーティストとしても活動していました。
* エド・ボール: ザ・タイムスのメンバーとしても知られる彼は、クリエイションで制作から運営に至るまで、多岐にわたる業務を担いました。ジョー・フォスターとはクリエイションに関わる以前からの音楽仲間でした。レーベル活動の末期には、自身のソロアルバムも発表しています。クリエイションの閉鎖後、アラン・マッギーが設立したポップトーンズにも参加し、引き続き音楽活動に関わりました。

これらの人物たちの個性と協力関係が、クリエイション・レコーズというユニークな存在を形作っていたと言えるでしょう。

クリエイション・レコーズの物語は、2011年に公開されたドキュメンタリー映画『アップサイド・ダウン：クリエイション・レコーズ・ストーリー』でも描かれ、その影響力の大きさが改めて示されました。その短くない歴史の中で、経営体制の変化や終焉を迎えましたが、彼らが世に送り出した音楽は、今なお多くの人々に聴き継がれています。

もう一度検索