クリスティ・フロント・ドライヴ

クリスティ・フロント・ドライヴ (Christie Front Drive)

アメリカ合衆国コロラド州デンバーで1993年に結成されたロックバンド、クリスティ・フロント・ドライヴ。その短いながらも後続のエモミュージックシーンに多大な影響を与えた軌跡をたどります。

概要と活動史

クリスティ・フロント・ドライヴは、1993年にコロラド州デンバーにて、エリック・リクター(ボーカル、ギター)、ジェイソン・ビギン(ギター)、ケリー・マクドナルド(ベースギター)、ロン・マーシャル(ドラムス)の4名によって結成されました。彼らは結成初期から、感情豊かなボーカルと疾走感のあるギターサウンドを特徴とする独自の音楽性を追求し、後のエモシーンの形成に影響を与える存在として注目を集めることになります。

バンドは結成翌年の1994年、セルフタイトルの12インチEPをリリースし、正式に音楽活動を開始しました。特に1995年は活発なリリース活動を展開し、新たなセルフタイトルの7インチEPを発表。加えて、同時代の重要なバンドたちとの交流を示すように、ジミー・イート・ワールドやボーイズ・ライフといったバンドとのスプリットEPを複数リリースし、その存在感をシーンの中で確固たるものにしていきました。

また、同じ1995年には、それまでに発表したEPやシングルに収録されていた楽曲をまとめて収録したコンピレーション・アルバム『Anthology』をリリースし、初期の活動成果を総括する形となりました。

クリスティ・フロント・ドライヴは1997年に活動を停止し、バンドの解散を発表しました。興味深いことに、解散と同年に、前年の1996年に録音されていたバンドにとって唯一の公式スタジオ・アルバム『Stereo』が発表されています。この作品は、彼らのサウンドの集大成を示すものとして、解散後も継続的に評価され続けています。

バンド解散後も、メンバーはそれぞれ音楽への情熱を失うことなく、新たなプロジェクトを立ち上げて活動を継続しました。フロントマンであったエリック・リクターはアンタークティカ(Antarctica)というバンドを結成。ギタリストのジェイソン・ビギンとドラマーのロン・マーシャルは共にザ・ブルー・オンタリオ(The Blue Ontario)というグループで活動を続けました。そして、ベーシストのケリー・マクドナルドはザ・マイティ・ライム(The Mighty Rime)というバンドに参加しています。メンバーがそれぞれ異なる形で音楽を続けたことは、彼らの音楽的な幅広さを示すものと言えるでしょう。

バンドは解散から時を経て、その根強い人気と多くのファンからの待望に応える形で、限定的な再結成ライブを果たしています。2007年9月1日には、地元デンバーで開催された音楽フェスティバル「Denver Sound Summit」に出演するために一度限りの再結成ライブを行いました。これは多くのファンにとって待望の機会となりました。さらに、その数年後、2014年3月にも再び再結成が発表され、同年5月17日に開催された別の音楽フェスティバルに参加しています。これらの再結成は、バンドがいかにシーンにおいて重要な存在であり続け、根強い支持を得ていたかを物語っています。

メンバー

クリスティ・フロント・ドライヴの活動期間における公式メンバーは以下の4名です。

エリック・リクター (Eric Richter) - ギター、ボーカル
ジェイソン・ビギン (Jason Begin) - ギター
ケリー・マクドナルド (Kerry McDonald) - ベースギター
ロン・マーシャル (Ron Marschall) - ドラムス

ディスコグラフィー

クリスティ・フロント・ドライヴが公式にリリースした主な作品は以下の通りです。彼らの音楽性を知る上で欠かせない音源ばかりです。

アルバム

『Anthology』(1995年) - 1994年および1995年に発表されたEP等からの楽曲をまとめたコンピレーション盤。
『Stereo』(1997年) - 1996年録音。バンドにとって唯一の公式スタジオ・アルバム。解散後にリリースされました。

EP・スプリット

『Christie Front Drive "12』(1994年) - バンドのデビュー作となった12インチEP。
『Christie Front Drive "7』(1995年)
『Christie Front Drive / Sineater』(1995年) - ノースカロライナ州のバンド、SineaterとのスプリットEP。
『Christie Front Drive / Jimmy Eat World』(1995年) - 当時アリゾナで活動していたJimmy Eat WorldとのスプリットEP。
* 『Christie Front Drive / Boy's Life』(1995年) - ミズーリ州のバンド、Boy's LifeとのスプリットEP。

クリスティ・フロント・ドライヴは、その短い活動期間の中で、独自のエモーショナルなサウンドを確立し、その後の多くのバンドに影響を与えました。彼らの遺した作品は、今なお世界中のエモ・ファンに聴き継がれており、シーンの重要なルーツとして位置づけられています。

もう一度検索