クリストバル・ロハス (画家)

クリストバル・ロハス - 19世紀ベネズエラの画家

クリストバル・ロハス（Cristóbal Rojas、1857年12月15日 - 1890年11月8日）は、19世紀後半に活躍したベネズエラの画家です。彼は1884年にフランス・パリに渡り、ヨーロッパの美術を学びましたが、33歳という若さで結核により命を落としました。その短い生涯の中で、彼は多くの影響力ある作品を残し、故郷の美術界に重要な足跡を刻みました。

生い立ちと教育

ロハスはミランダ州のクア（Cúa）に生まれ、病院従業者の家庭で育ちました。彼が幼少期を過ごす時期は、ベネズエラ内戦、特に連邦戦争（1859年-1863年）の真っ只中でした。祖父から教育を受け、絵画の手ほどきを受けた彼は、13歳で父親を亡くし、経済的な理由から家族を支えるためにタバコ工場で働き始めます。

1878年に発生した大地震により、故郷の街が被害を受けたため、ロハスとその家族はカラカスに移住します。そこで彼は本格的に絵画の勉強を始めますが、再び家庭を支えるためにタバコ工場での仕事に戻らざるを得ませんでした。カラカスでは、画家ホセ・マヌエル・マウコの下で絵を学び、1880年から1882年の間には、アントニオ・エレーラ・トロの助手として、カラカス大聖堂の装飾画の制作にも関わりました。

芸術的な活動

1883年には、シモン・ボリバルの生誕100年を祝う展覧会で、アタナシオ・ジラルド将軍の死をテーマにした作品を出展し、アルトゥーロ・ミチェレーナとともに2位のメダルを受賞しました。この栄誉により、彼はヨーロッパ留学の奨学金を得ることができ、1884年の初めにパリに渡ります。パリでは、1857年生まれのベネズエラ出身の画家エミリオ・ボッジョと親しくなり、彼からも影響を受けました。

ロハスはルーブル美術館で多くの作品を研究し、フランスの新しい美術に触れ、自身の芸術スタイルを進化させていきました。特に印象派の技術に関心を持ち、自らの表現を深めていきました。しかし、奨学金の生活は貧しく、結核に悩まされることになります。

帰国と晩年

1890年にはベネズエラに帰国しますが、残念ながら帰国後ほどなくして32歳という若さで、カラカスで亡くなりました。彼の作品は、ベネズエラの美術史において重要な位置を占めており、彼の影響力は今もなお語り継がれています。ロハスの芸術は、彼自身の厳しい人生経験と時代背景が色濃く反映されたものであり、彼の作品には独自の感情が込められています。彼の才能は短命に終わりましたが、その足跡は後世に大きな影響を与えています。

もう一度検索