クリストフ・プランタン

クリストフ・プランタンの生涯と業績

クリストフ・プランタン（Christophe Plantin、1520年頃－1589年）は、フランスのサン＝タヴェルタンで生まれました。初めは製本職人として働いていましたが、納品先に向かう途上で強盗に襲われ、腕を負傷しました。この未曾有の出来事が彼を印刷業界へと導くきっかけとなります。彼はその後、活版印刷を学び、アントウェルペンを拠点に活動を始めました（1548年－1589年）。

プランタンの出版キャリアは順調に進み、彼が手がけた作品は1500点以上にのぼります。また、パリ（1566年－1577年）やライデン（1583年－1585年）でも彼の出版物が流通しました。さらに、1570年にはスペイン王フェリペ2世の印刷業者長（Architypographe）に任命され、ライデン大学の御用業者としても活動していました。

プランタンの死後、彼の事業は娘婿のジャン・メラントルフ（ヤン・モレトゥス）に引き継がれ、オフィキナ・プランティニアナ（Officina Plantiniana）の名で知られるこの印刷所は今もなお存在しています。オフィキナ・プランティニアナは、ベルギーの印刷業界における重要な存在であり、現在はプランタン＝モレトゥス博物館としてユネスコの世界遺産に登録されています。

商標と出版スタイル

プランタンは商業活動の中で3つの異なる商標を使用しました。その中の1つは1564年以降に採用されたもので、「黄金のコンパスにて」と呼ばれています。この商標を用いることで、彼は異なるコレクションを明確に区別し、印刷物には「ラボレ・エト・コンスタンティア」（Labore et Constantia、「勤労と辛抱」）というラテン語の銘句を添えていました。彼はまた、印刷物の校正を重視し、誤植を見つけた人には謝礼を支払うことを約束するなど、顧客との信頼関係を築こうとしました。

主な出版物

プランタンは多くの著作を出版しており、いくつかの著名な作品を挙げると以下のようになります。

• - 1557年 - 『化粧品とジャム論』：ノストラダムスの医師であり料理研究家としての業績をまとめた著作で、版は多様ですが、出版所の記載がないものも多く、プランタンのものと見なされています。
• - 1562年 - 『4ヵ国語辞典』(Dictionarium Tetraglotton)：ラテン語、ギリシア語、フランス語、オランダ語から成る辞典です。
• - 1567年 - 『名詞の命名について』(Nomenclator omnium rerum propria nomina variis linguis…)：言語における名詞を集めた重要な書籍。
• - 1569-1572年 - 『多国語訳聖書』(Biblia polyglotta)：ラテン語やギリシア語、ヘブライ語などの多言語に対応した聖書です。
• - 1573年 - 『チュートン語シソーラス』：低地ドイツ語の辞書として4万語を収録。
• - 1599年 - 『チュートン語語源辞典』：チュートン語のラテン語辞典の改訂版。
• - 1600年 - 『アラーテア集成』：オランダの法学者グロティウスの作品を含む重要な法学書。

プランタンの影響は現代にまで及び、彼の足跡は歴史的な文脈においても重要視されています。また、彼にちなんだ小惑星「プランタン」も命名され、彼の業績が語り継がれています。

もう一度検索