クリスマスキャロルの頃には

クリスマスキャロルの頃には：稲垣潤一の大ヒット曲とその軌跡

1992年10月28日、稲垣潤一の27作目のシングル「クリスマスキャロルの頃には」がリリースされました。ファンハウス（現Ariola Japan / Sony Music Labels）から8cmCDで発売され、TBS系テレビドラマ『ホームワーク』の主題歌として起用されたこの曲は、彼の代表作として広く知られることとなります。

恋人のすれ違いを描く、冬の歌ではないクリスマスソング

多くのクリスマスソングが、クリスマスの喜びやロマンチックな雰囲気を表現するのに対し、「クリスマスキャロルの頃には」は、少し異なる視点から冬を描いています。歌詞からは、倦怠期を迎えた恋人同士が、クリスマスまでに距離を置き、お互いの将来についてじっくりと考え直す様子が、男性の視点で切々と歌われています。そのため、クリスマスを舞台にした歌ではありますが、歌詞の世界観は必ずしも冬の温かみやロマンチックな雰囲気とは一致しません。むしろ、二人の関係に訪れた静かな冬の、少し切ない空気感が漂っています。

ドラマ主題歌としての成功と、ロングヒットへの道

『ホームワーク』の主題歌起用は、この曲の知名度を大きく向上させることに貢献しました。TBSの音楽番組『突然バラエティー速報!!COUNT DOWN100』のランキングVTRには、稲垣潤一自身に加え、ドラマに出演していた唐沢寿明、清水美砂、福山雅治、浦江アキコらも出演し、話題を集めました。

発売から1年後には、「メリークリスマスが言えない」との両A面シングルとして再リリース。クリスマス仕様のパッケージで、マキシシングル用薄型ケースを採用するなど、戦略的なプロモーションが展開されました。また、オリジナルアルバムには収録されず、ベスト盤への収録のみという戦略も取られました。この戦略が功を奏し、この曲は稲垣潤一の最大のヒットシングルとなり、8cm盤、12cm盤など、様々な形態でリリースされ続けました。

デュエットバージョンと、広がる楽曲の世界

2009年には、広瀬香美とのデュエットバージョンがリリースされました。稲垣潤一のデュエットアルバム『男と女2』からのシングルカットで、「稲垣潤一＆広瀬香美」名義で発売されました。ユニバーサルミュージックからのリリースとなり、広瀬香美が所属するビクターエンタテインメントからのリリースは行われませんでした。そのため、シングルには「広瀬香美 by the courtesy of Victor Entertainment Inc.」の表示がされています。このデュエットバージョンは、オリジナルとは異なる魅力を持つ新たな解釈として、多くのリスナーに受け入れられました。カップリング曲には、稲垣潤一による竹内まりやのカバー「元気を出して」が収録されています。

多様なカバーとリミックス：世代を超えて愛される楽曲

「クリスマスキャロルの頃には」は、多くのアーティストによってカバーされています。Li-ZELL、TAKA + BA-K from デリカテッセン、Waterなど、様々なアーティストがそれぞれの解釈でこの曲を歌い上げ、オリコンチャートにもランクインしています。さらに、香港の歌手レイモンド・チョイによる広東語版と北京語版も存在し、アジア圏でも高い人気を誇っています。また、マイケル・フォーチュナティによる英語カバーや、MONKEY MAJIKとのコラボレーションなど、時代を超えて様々なアレンジが施され、多くのリスナーに愛され続けています。

まとめ

「クリスマスキャロルの頃には」は、単なるクリスマスソングの枠を超えた、普遍的な魅力を持つ楽曲です。恋人たちの心情を繊細に表現した歌詞、そして時代を超えて愛され続けるメロディーは、多くのリスナーの心に深く刻まれています。ドラマ主題歌としての起用、様々なアーティストによるカバー、デュエットバージョンなど、その歴史は、この曲が持つ普遍的な魅力を改めて証明しています。これからも長く歌い継がれていくであろう、名曲と言えるでしょう。

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