クリスマス切手

クリスマス切手の魅力：宗教と世俗、伝統と現代が交差する小さな芸術

クリスマス切手は、クリスマスカードやはがきに貼るために発行される特別な切手です。キリスト教文化圏を中心に世界中で発行されており、10月頃から12月頃にかけて販売されるのが一般的です。その歴史、デザイン、収集といった様々な側面から、クリスマス切手の魅力を探っていきましょう。

クリスマス切手の歴史：宗教的起源から世界的な習慣へ

クリスマスはイエス・キリストの降誕を祝う日ですが、聖書には具体的な日付は記されていません。初期のキリスト教では、キリストの死と復活の方が重要視されていましたが、3世紀頃より降誕日も祝われるようになり、12月25日が定着しました。

クリスマスカードの贈答習慣は古くからありましたが、一般に普及したのは、19世紀後半のイギリスにおける近代郵便制度の確立以降です。安価な郵便はがきや大英帝国内の均一料金制度の導入により、庶民の間でもクリスマスカードの交換が盛んになり、郵便物の取扱量が急増しました。

世界最初のクリスマス切手は、1898年のカナダで発行された2セント切手だとされています。これは、大英帝国内の均一料金制度導入を記念したもので、図案は世界地図に大英帝国の版図が赤く塗られたものでした。「XMAS 1898」の文字が記されていることから、クリスマス切手とされていますが、発行目的や図案自体はクリスマスとは直接関係ありませんでした。

その後、1960年代以降、世界各国で毎年クリスマス切手を発行する習慣が定着しました。アメリカ合衆国やイギリスなどでは、ほぼ毎年クリスマス切手が発行されています。ただし、アメリカ合衆国では、政教分離の観点から、1994年からはグリーティング切手と名称を変更し、世俗的なデザインにシフトしています。日本でも、2005年からは「冬のグリーティング切手」として発行されています。

クリスマス切手のデザイン：多様なモチーフと各国の文化

クリスマス切手のデザインは実に多様性に富んでいます。聖書におけるキリストの降誕や東方三博士の訪問、聖家族といった宗教的なモチーフから、サンタクロース、クリスマスツリー、クリスマス料理、クリスマス音楽といった世俗的なモチーフまで、幅広く取り上げられています。

例えば、サンタクロースが登場する切手は1954年のキューバが最初とされています。南半球のオーストラリアでは、サーフィンをするサンタクロースを描いた切手も発行されました。クリスマスツリーはドイツ発祥の風習で、クリスマス切手の定番モチーフとなっています。その他、ヒイラギ、ろうそく、クリスマス料理なども、それぞれの国の文化や習慣を反映したデザインで描かれています。

さらに、香り付きのクリスマス切手も登場しています。2005年のアイスランドのクリスマスツリー、2018年のグリーンランドのシナモンとマツなど、五感を刺激する工夫も凝らされています。

国によっては、ディズニーキャラクターや漫画のキャラクターをデザインしたクリスマス切手も発行されており、多様なデザインを楽しむことができます。

クリスマス切手の収集：文化と歴史を凝縮したコレクション

クリスマス切手は、切手収集家にとって貴重な収集対象となっています。切手を通じて、クリスマスの物語、各国の風習や習慣、歴史的背景などを知ることができます。日本の切手の博物館では毎年、「切手の博物館のクリスマス」と題した特別展を開催し、クリスマス切手を中心とした展示を行っています。

クリスマスシール：結核予防運動とクリスマス

クリスマスカードに貼られるものとして、クリスマスシールもあります。1903年、デンマークで結核予防運動のために作られたのが始まりで、赤い複十字がデザインされています。クリスマスの時期に販売されることが多く、クリスマス関連の図案が多いことから、クリスマスシールと呼ばれています。切手とは異なるため、切手収集家の中には興味を示さない人もいますが、郵便に関わるクリスマスアイテムとして収集する人もいます。

まとめ

クリスマス切手は、宗教的な伝統と現代的なデザイン、そして各国の文化が融合した、魅力的なアイテムです。切手収集という趣味を通じて、クリスマスの歴史や文化に触れることができるだけでなく、小さな芸術作品として楽しむこともできます。クリスマスの時期だけでなく、一年を通してその魅力を味わえるでしょう。

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