クリミナル 2人の記憶を持つ男

クリミナル 2人の記憶を持つ男 （Criminal）

2016年に公開されたアメリカ合衆国とイギリスの合作によるスパイ・アクション映画。人間の記憶を他者に移植するという大胆な設定を基軸に、スリリングな展開が描かれる。

物語は、ロンドンで活動していたCIAのエージェント、ビルが任務遂行中に非業の死を遂げるところから幕を開ける。ビルは、世界の安全保障を脅かす存在である、アメリカ軍の核ミサイルを遠隔操作できる凄腕のハッカー、通称「ダッチマン」の潜伏先を知る唯一の情報源であった。彼の突然の死により、ダッチマンの捕捉が極めて困難となり、CIAは未曽有の危機に直面する。

世界の破滅を防ぐため、CIAは窮余の策として前代未聞の計画を立案する。それは、死亡したビルの脳内に残された記憶を、別の人物の脳へ移植するという医療技術を用いた手段であった。これにより、ビルの記憶を通じてダッチマンの情報を引き出すことを目論む。

この危険な記憶移植手術の被験者として選ばれたのは、終身刑、あるいは死刑を宣告された凶悪犯であるジェリコ・スチュワートであった。感情の欠落した冷酷な犯罪者として知られるジェリコに、ビルの記憶が移植される。手術後、ジェリコは自身の根っからの凶暴な人格と、エージェントであるビルの記憶や、彼の人間性との間で激しい葛藤を抱えることになる。脳内でせめぎ合う二つの異なる記憶と人格に苦悩しながらも、彼に課せられた使命は、移植された記憶が完全に消滅するまでの限られた時間、わずか48時間以内にダッチマンの行方を探し出し、彼によるテロ計画を阻止することであった。ジェリコは、誰にも頼ることのできない孤立無援の状況下で、世界の命運をかけた壮絶な戦いに身を投じることになる。

主演のジェリコ・スチュワートをケヴィン・コスナーが演じ、彼の複雑な内面と激しいアクションを体現している。ジェリコを追うCIAのクウェイカー・ウェルズをゲイリー・オールドマンが、記憶移植手術を行うフランクス医師をトミー・リー・ジョーンズが演じるなど、実力派俳優陣が脇を固める。その他、マルタ・リンチ役にアリス・イヴ、ビルの妻ジル・ポープ役にガル・ガドット、そしてハッカーのダッチマンをマイケル・ピットが演じている。

記憶と人格の融合というSF的な要素と、タイムリミットサスペンス、そしてハードなアクションが見どころの作品であり、観る者を緊迫感あふれる物語へと引き込む。

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