クリープ断層

クリープ断層とは

クリープ断層とは、通常の断層のように地震を引き起こすのではなく、非常にゆっくりとした速度で継続的にずれ動く断層のことです。このゆっくりとしたずれは「非地震性クリープ」と呼ばれます。地震を伴わないため、地表では静かに、しかし確実に変化が進行します。世界的にも珍しいタイプの断層であり、そのメカニズムや活動に関する研究が続けられています。

クリープ断層の例

最も有名なクリープ断層の例としては、アメリカ・カリフォルニア州中部のホリスターに存在するものが挙げられます。この断層は、サンアンドレアス断層系に属するカラヴェラス断層の一部であり、右横ずれ断層です。ホリスターでは、断層の真上にある地表に微小な割れ目が生じ、その割れ目を境に地面が常に一定の速度でずれ動いています。このずれは、道路や歩道、庭先などで確認でき、縁石が割れてずれたり、建物がわずかに歪んだりする様子が観察できます。そのため、ホリスターを訪れると、クリープ断層の活動を実感することができます。

また、カリフォルニア州中部のバークレー市を縦断するヘイワード断層もクリープ断層として知られています。ただし、ヘイワード断層では、地表でのずれの量が地下での実際のずれの量よりも少ないとされており、将来的に地震を引き起こす可能性も指摘されています。このため、ヘイワード断層はより注意深く監視されています。

クリープ現象との関連

クリープ断層で見られるゆっくりとしたずれは、物質が一定の力を受け続けることで変形していく現象、すなわち「クリープ」現象と関連があります。クリープ現象は、弾性変形や塑性変形といった他の変形現象とともに、地質学や材料力学の研究対象となっています。

まとめ

クリープ断層は、地震を伴わないゆっくりとしたずれが特徴的な断層です。その活動は、地表の割れ目や構造物のずれを通して観察することができます。ホリスターやヘイワード断層などの例を通じて、クリープ断層の活動が私たちの生活に影響を与えていることがわかります。

参考資料

ホリスターのクリープ断層 四万十帯に便利

関連項目

クリープ
弾性変形
塑性変形

もう一度検索