クリーモフ VK-1

クリーモフ VK-1について

クリーモフ VK-1は、ソ連が1946年に実用化した初期のターボジェットエンジンです。このエンジンは、ヴラジーミル・ヤーコヴレヴィチ・クリーモフ設計局によって設計され、GAZ 116工場で生産されました。さらに、中国でもWP-5としてライセンス生産されました。

開発の背景

第二次世界大戦後、アメリカが実施したペーパークリップ作戦の影響で、ソ連は多くのドイツの技術者や設計図を手に入れました。これにより、当時のドイツのターボジェットエンジン技術に触れる機会を得たものの、その品質は戦争の影響で劣悪でした。しかし、技術的には非常に高度なものであったため、ソ連にとっては重要な参考資料となりました。

1946年には、イギリスの労働党政権がソ連との友好関係を強化したこともあり、ロールス・ロイスから最新のターボジェットエンジンが輸出されることが決定しました。特に、ロールス・ロイス ニーンとダーウェント Mk.Vが送られ、これらのエンジンは後にドイツ人技術者によってリバースエンジニアリングを通じて複製されることになります。

VK-1の設計と技術

最初に開発されたRD-45は構造が単純だったものの、当時のソ連の技術力と材料の不足から開発は困難を極めました。その後、改良が加えられたVK-1は、オリジナルのニーンとは異なり、大型の燃焼器とタービンを採用し、気流を改善しました。また、ロールス・ロイスの工場見学の際、特別仕様の靴を履いて金属の屑を回収し、その分析を行うことで金属材料の問題も解決しました。

VK-1はMiG-15に搭載され、後にMiG-17やIl-28にも使用されました。

性能と搭載機

VK-1の重要な仕様は以下の通りです：

• - 全長：2,600 mm
• - 直径：1,300 mm
• - 重量：872 kg
• - 推力：26.5 kN
• - 燃料消費率：109.1 kg/(kN·h)
• - 推力重量比：41.4 N/kg

このエンジンは、特に朝鮮戦争において西側にとって深刻な脅威となりました。MiG-15の搭載による実績から、VK-1は急速にその名を轟かせました。

また、VK-1Fはアフターバーナーを装備しており、ロールス・ロイス テイに相当する性能を持っています。しかし、簡素な構造ゆえに、性能の向上には限界がありました。そのため、徐々により高性能な軸流圧縮式ターボジェットエンジンに取って代わられることになります。

最終的には、VK-1はそのシンプルな構造と効率から、さまざまな民間用途にも利用され、ロシアの空港では融雪車に取り付けられて運用されています。クリーモフ VK-1は、ソ連の航空エンジン技術の重要な一コマとして、今なお多くの技術者に影響を与え続けています。

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