クルト・ユルゲンス

クルト・ユルゲンス：国際的な舞台で輝いたドイツの名優

クルト・ユルゲンス（Curd Jürgens, 1915年12月13日 - 1982年6月18日）は、ドイツを代表する俳優として、その才能を国際的に発揮しました。彼の生涯は、激動の時代を背景に、舞台、映画、そして人間としての葛藤に満ち溢れています。

生い立ちとキャリアの初期

ミュンヘン郊外で生まれたユルゲンスは、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせましたが、女優であった最初の妻ルイーズ・バスラーの勧めで俳優の道へ進みます。1935年にベルリンで初舞台を踏み、その後ウィーンの劇場を中心に活動しました。映画デビューも1935年であり、舞台と映画の両方で着実にキャリアを重ねていきました。

ナチスからの迫害と戦後の復帰

ナチスに批判的な姿勢をとっていたユルゲンスは、1944年にハンガリーの強制収容所に収監されるという苦難を経験します。戦後解放され、オーストリア国籍を取得。一時的にジャーナリストとして活動した後、1947年に舞台に復帰し、映画界にも復帰を果たしました。

国際的な成功

1955年、フランス映画『悪の決算』でヴェネツィア国際映画祭 男優賞を受賞。この受賞をきっかけに、彼は国際的なスターダムへと駆け上がります。同年には、マリア・シェルとの共演作『Die Ratten』がベルリン国際映画祭でグランプリを獲得するなど、彼の出演作品は国際的な評価を高めていきました。1957年にはハリウッド映画『眼下の敵』でドイツUボート艦長役を演じ、戦争映画におけるドイツ軍将校役としての地位を確立しました。

1960年代の苦悩と晩年

『史上最大の作戦』（1962年）への出演以降、ナチス・ドイツ軍人役のイメージが定着し、次第に低予算映画への出演も増えていきました。しかし、1970年代に入ると、再び国際的な作品にも参加し、晩年まで精力的に活動を続けました。1982年、ウィーンで心臓発作により死去。彼の遺作となったのは、BBC制作のテレビシリーズ『スマイリーと仲間たち』でした。

多彩な才能と私生活

ユルゲンスは俳優業だけでなく、映画監督としても4本の作品を手掛けました。また、1976年には自伝を出版しています。5度の結婚歴があり、エヴァ・バルトークもその一人です。

クルト・ユルゲンスは、その才能と個性的な魅力で、国際映画史に名を刻んだ名優です。彼の作品は、時代を超えて私たちに感動を与え続けています。

主な出演作品

ワルツの季節 (1935)
悪の決算 (1955)
眼下の敵 (1957)
史上最大の作戦 (1962)
空軍大戦略 (1969)
クルーズ・ミサイル(1977)
戦場の黄金律/戦争のはらわたII(1978)

外部リンク

クルト・ユルゲンス - IMDb（英語）
Curd Jürgens - 60 Jahre und kein bisschen weise 1975（ドイツ語）
テレビ番組で歌を披露している映像。カラー。

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