クルベラ洞窟

クルベラ洞窟：深淵への挑戦

クルベラ洞窟（別名：ヴォロニヤ洞窟）は、ジョージアのアブハジアに位置する、深さ2,196mを誇る世界で2番目に深い洞窟です。その深淵は、探検家たちに未知への挑戦を挑み続けています。

名前の由来と歴史的背景

「クルベラ」という名前は、1960年に洞窟の入り口を発見した旧ソビエトの探検チームが、著名な地理学者アレクサンダー・クルーバーに敬意を表して命名しました。「ヴォロニヤ」という別名は、ロシア語で「カラス」を意味し、洞窟の入り口付近にカラスが多く巣を作っていたことに由来します。1980年代にキエフの洞窟学者によって名付けられました。

探検の歴史

初期の探検

20世紀初頭、フランスの洞窟学者エドゥアール＝アルフレッド・マルテルがアブハジアを訪れ、アラビカ山系に関する記録を残しました。1909-10年には、クルベラ洞窟の名前の由来となったロシアのカルスト科学者、アレクサンダー・クルーバーが、この地域の地質調査を行いました。

1960年代

1960年代初頭には、レヴァン・マルアシュビリ率いるジョージアの地理学者が、洞窟の入り口から深さ90mまでの探検を行いました。

1980-90年代

1980年、アレクサンドル・クリムチュク率いるキエフの探検隊が探検を再開し、以前の探検を阻んでいた場所を突破しました。その後、周辺の調査で、1,000mを超える5つの洞窟を含む、多くの深い洞窟が発見されました。しかし、1992年から94年にかけてのアブハジア紛争により、探検は中断されました。

2000年代

1999年、ユーリ・カシアン率いるウクライナ洞窟探検協会の遠征隊が、深さ220-250m地点から2つの分岐を発見し、それぞれ-740mと-500mまで探査しました。2001年には、同じ探検隊が洞窟を地下1,710mまで探査し、当時の世界最深記録を樹立しました。

2012年8月には、9か国から集まった59名のチームが、27日間かけてクルベラ洞窟を探索しました。この探検では、地下に一連のキャンプを設営しながら調査が行われ、ウクライナの洞窟ダイバー、Gennady Samokhinが地下2,197m地点で新たな地底湖を発見し、水深記録を更新しました。

2018年には、同じアブハジアにあるベロブキナ洞窟が2,212mまで探査され、クルベラ洞窟は世界で2番目に深い洞窟となりました。

洞窟に生きる生物

クルベラ洞窟には、クモ、トビムシ、甲虫、双翅目など、12種以上の節足動物が生息しています。2010年の探検では、トビムシの新種であるデウテラフォラ・クルベラエンシスが発見されました。また、プルトムルス・オルトバラガネンシスは、深さ1,980m地点での生息が確認されています。

アブハジアの洞窟群

2023年現在、世界で最も深いとされる洞窟の上位4つは、すべてアブハジアに位置しています。これは、この地域が特異なカルスト地形を有していることを示しています。

クルベラ洞窟は、その深さだけでなく、探検の歴史やそこに生息する生物など、多くの魅力を持つ洞窟です。今後も探検は続けられ、さらなる深淵が解き明かされることでしょう。

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