クレナフレックス

クレナフレックス

クレナフレックス（CLENA-FLEX）は、株式会社ナムコ（後の株式会社バンダイナムコアミューズメント）が2004年に市場に投入したクレーンゲーム機です。箱型の筐体デザインが特徴で、最大2名のプレイヤーが同時に操作できるボタンが配置されています。この機種を基点に、共通のゲームシステムを採用した多くの派生機や後継機が登場しており、本項目ではそれらシリーズ機についても解説します。

概要と特徴

クレナフレックスの最大の特徴は、景品の出口となる落とし口のサイズや形状を柔軟に変更できる「フリーホール機能」にあります。数種類の専用パネルを組み合わせることで、景品フロアのレイアウトを店舗の運営方針や景品の種類に合わせて自在にカスタマイズすることが可能になり、これにより多様な景品設定や難易度調整が行えるようになりました。初代機のプロモーションコピーは『全てが最高スペック！お店の「こう使いたい」を全て実現！』と謳われており、設定の自由度と操作の容易さを両立している点が強調されていました。

本機は、クレーン操作に関わる様々な詳細設定が可能です。

左右のアームパワーを個別に150段階で調整できる機能
景品を掴むアームの開き幅を4段階（オプションキット使用でより細かく設定可能）で設定できる機能
クレーンが移動できる範囲を制限できる機能
照明やその他の装飾に使用できるサービスコンセントを筐体内部に搭載

といった機能を備え、店舗側の細やかな調整要望に応えられる設計となっています。なお、クレナフレックスを含む一部旧機種は、2018年6月にメーカーの修理サポートが終了しています。

遊び方

基本的な操作は、主に2つまたは3つのボタンを用いて行います。設定によっては、第3ボタンの機能が使えない場合もあります。

1. 最初のボタン（第1ボタン）を押して、クレーンを左右いずれかの方向へ移動させます。ボタンから手を離すか、移動範囲の限界に達するとクレーンは停止します。一度停止すると、再びボタンを押してもそれ以上同じ方向には動きません。
2. 次のボタン（第2ボタン）を押すと、クレーンが奥方向へ移動を開始します。このボタンも、離すか限界に到達するまでクレーンは動き続け、停止するとアームが開き、クレーンが下降します。もし第3ボタンが有効な設定になっている場合、クレーンが下降している途中でこのボタンを押すことにより、任意の位置で下降を止めることができます。
3. アームが景品を掴むように閉じた後、クレーンは上昇を開始します。
4. クレーンが最高点まで上昇しきると、筐体内で最も近い落とし口の上まで自動的に移動し、アームが開閉して景品を放出します。
5. 景品放出後、クレーンは初期位置（ホームポジション）に戻り、次のプレイの待機状態となります。

シリーズ機

クレナフレックスは、その成功を受けて様々な後継機や派生機が開発されました。ここでは、主なシリーズ機を紹介します。

通常タイプ (最大2人プレイ)

CLENA-FLEX（クレナフレックス）: シリーズの初代機種として2004年12月に登場。ピンクとブルーの本体カラーがあり、フリーホール機能を初めて搭載しました。景品補充がしやすい引き戸式のガラス扉を備えていましたが、これは本機種限りとなりました。アームパワーは左右別々に150段階、開き幅は4段階（オプションで詳細設定）でした。下降距離は設定画面では調整できず、チェーンなどで物理的に設定する必要がありました。掴み動作後の上昇開始までの時間設定や、一度だけ再度掴み動作を試せる「リトライ付きゲーム」設定、昼光色・電球色蛍光灯とハロゲンランプを組み合わせた3種照明など、本機種独自あるいは本機種限りとなった機能も多く搭載されていました。

CLENA-WIDE（クレナワイド）: 2006年7月登場。ワイド景品対応の「WIDE WIDE CLIPPER」の後継機で、最大60cm幅の景品に対応しています。操作方法が「奥移動＋左右アーム移動」となる点が異なります。待機BGMなど一部の音源はクレナフレックスと共通化されており、掴み動作を繰り返して設定を容易にする「かんたん調整モード」が搭載されました。

CLENA2 Queen（クレナ2クイーン）: 2011年3月登場。クレナフレックスの後継機として、フリーホール機能は「立体フリーホール」「フリーシェルフ」に進化し、フィールドの立体的なレイアウト変更が可能になりました。キャッチャーの向きを90度変更できる機能や、クレーン位置によって左右アームパワーを自動で入れ替える機能、下降限界を設定画面で簡単に調整できる機能などが追加されました。アームパワーは200段階、開き幅は11段階と設定が細分化され、サービスパネルの操作性も向上しました。照明にLEDが一部採用され、消費電力は初代の約半分に低減。本体内に交換パーツの保管スペースも設けられました。

CLENA2K（クレナ2K）: 2015年登場。クレナフレックスの後継機。10円硬貨の使用に対応し、料金設定の幅が広がりました。バックボードは改良され、マグネットなどでPOPを簡単に交換できるようになりました。キャッチャーの押し込み力が2段階（標準・弱）で設定可能に。照明が全てLED化され、消費電力はQueenからさらに低減されました。

CLENA HYBRID（クレナハイブリッド）: 2019年登場。クレナシリーズで初めてジョイスティック操作に対応したほか、3本爪での運用を可能にするアタッチメントパーツが付属しました。照明や演出にフルカラーLEDを採用し、有線接続により複数台の待機時演出を連携させることも可能です。消費電力はQueenと同程度に戻りました。

CLENA 3（クレナ3）: 2022年登場。CLENA2シリーズの後継機。プレイヤーの手元中央にタッチパネルが搭載され、両替キープ機能が追加されました。アーム先端の角度調節が可能になり、アームユニットカバーは黒に変更されています。フィールドの設置・撤去効率を向上させる「クイックボルト」、自由度を高める「3分割昇降機能」、「スリット式フロア」の採用により、設定作業の時短化が図られました。通常の移動・掴み設定に加え、移動→下降→移動→上昇といった特殊なゲーム設定も可能に。従来のBGMに加え新たな楽曲も追加されています。Web管理システム「CLENA-NET」に対応し、タブレットやPCでのリアルタイムな運営状況確認・管理が可能になりました。消費電力は約10%削減され、「エコモード」によるさらなる省エネも実現しています。

小型タイプ (最大1人プレイ)

CLENA2 Jack（クレナ2ジャック）: 2013年登場。CLENA2 Queenの1人プレイ専用モデル。筐体の高さが抑えられ、上部がガラス張りで見下ろしてプレイできるデザインです。主要部品はQueenと共通ですが、専用の特殊アームが付属。クレナシリーズで唯一、本体を傾けると景品が移動するチルトスイッチを搭載しています。

CLENA3 Jack（クレナ3ジャック）: 2023年登場。CLENA3の1人プレイ専用モデルで、CLENA2 Jackの後継機です。主要部品はCLENA3と共通。新たにSSサイズのアームやスコップ爪などの運営パーツが追加されました。CLENA-NETにも対応し、CLENA3と同様に遠隔での運営管理が可能です。LED演出のON/OFFによる4段階の「エコモード」設定が可能となり、高い省電力効果を発揮します。

大型タイプ (最大1人プレイ)

BIG CLENA（ビックレナ）: 2009年11月登場。クレナフレックスと同等の機能を持ちつつ、大型景品に対応したモデルです。上下二層式のフリーホール機能や、ディスプレイシェルフ、エリア別アーム機能といった新機能を搭載。クレナフレックスと同様の引き戸式ガラス扉を備え、景品補充の利便性が高められています。

CLENA GRAND（クレナグラン）: 2024年登場。CLENA 3と同等の機能を大型化し、超大型景品に対応したモデルです。アタッチメントを使用せず、2本アームと3本アームを切り替えることが可能になりました。CLENA-NETに対応しており、CLENA3と連携した運営管理が可能です。

クレナフレックスシリーズは、初代機が持つ高い自由度と操作性を基盤に、時代ごとに新たな機能の追加、操作性の洗練、省エネルギー化などを推し進め、アミューズメント施設におけるクレーンゲーム機の定番として進化を続けています。

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（※本解説は提供情報を基に構成されています）

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