クロゾン

クロゾン

フランス西部、ブルターニュ地域圏のフィニステール県に位置する基礎自治体（コミューン）です。ブルトン語では「Kraozon」と呼ばれます。

地理

クロゾンは、ブルターニュ半島の西端に突き出すクロゾン半島の中心に位置する小郡庁所在地です。その広大な面積は半島の大部分を占めており、行政区域内には155にも及ぶ多様な地区や集落が点在しています。南側にはリゾート地として知られるモルガがあり、一方、北側にはブレスト港を見下ろす位置にマリーナを備えたル・フレがあります。

特に、モルガ湾は東側をクロゾンの市街地、西側をカゾール岬に区切られています。かつてこのモルガ港は、マグロやイワシ漁で栄える漁港として賑わっていましたが、漁業資源の枯渇という時代の変化を経て、現在ではレジャーボートが多く係留されるマリーナへとその姿を変えています。

由来

「クロゾン」という名称のブルトン語における語源については、いくつかの説があり、定かではありません。有力な説の一つとしては、『石』を意味する古ブルトン語の「car」に由来するという考え方があります。これは、11世紀には「Crauthon」、12世紀には「Craothon」と記録されていた古称や、クロゾンがある場所の地質的な特徴に結びつけられています。

また、言語学者ベルナール・タンギは、『隆起する』あるいは『盛り上がる』といった意味を持つ「Krug」や「Krugell」に由来するとして、『高地』を意味すると提唱しています。

歴史

クロゾンの地には、古くから人々が定住していた痕跡が見られます。ロスマールに残る巨石記念物や「Ty-ar-C'huré」と呼ばれる遺跡は、この地における先史時代の営みを今に伝えています。特に、ロスマール岬の先端にある岬砦は、鉄器時代に人々が定住した場所であり、その後、ガリア人やケルト人たちの避難所としても利用されました。この原史時代の防御施設は、二つの巨大な堤防によって構成されており、おそらく周囲には溝が掘られ、塀が築かれていたと考えられています。住民たちは、敵の攻撃を受けた際には、これらの強固な防御施設の背後に避難することで身を守っていました。

時代が下り、1543年には、ブルターニュ防衛のために派遣されたロアン公爵ルネ2世に同行したフランス王室の外科医、アンブロワーズ・パレがクロゾンを訪れています。彼はその時の状況について、「人々は武装し、あちこちで警鐘が鳴らされていた」と記しており、当時の人々がイングランド軍の上陸という脅威に晒され、それに対抗しようとしていた様子がうかがえます。パレはこの地で、ブルトン地方の伝統的なレスリングについて説明を受ける機会も得ています。

社会と文化

地域におけるブルトン語の維持・振興も試みられています。2007年の新学期時点では、コミューンの児童の4.1%が二言語教育を行う学校に在籍していました。

姉妹都市

クロゾンは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

スライゴー（アイルランド）
プラロニャン＝ラ＝ヴァノワーズ（フランス）

著名な出身者

ルイ・ジューヴェ（俳優）
ジョセフ・ヴェリ（画家）

人口統計

クロゾンの人口に関する統計データは、1999年まではEHESS（社会科学高等研究院）、2000年以降はINSEE（国立統計経済研究所）によって収集・提供されています。

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