クロツヤバエ

クロツヤバエとは

クロツヤバエは、双翅目クロツヤバエ科 (Lonchaeidae) に属するハエの総称です。小型で黒っぽい体色で、金属のような光沢を持つのが特徴です。メスの腹端は槍のように伸びています。世界では2012年までに約520種が確認されています。

分布

クロツヤバエは、ニュージーランドを除く世界の主要な地域に広く分布しています。日本でも数種が確認されていますが、詳しい研究はまだ進んでいません。

形態

体長は3〜6mm程度と小型で、一般的なハエの形をしています。多くの種は名前の通り黒く光沢がありますが、褐色や、中には緑色の金属光沢を持つ種もいます。頭部は半球形で複眼が大きく、頬は非常に狭いです。胸部は丸みを帯びており、腹部はやや扁平です。メスの腹端は長く槍状になります。翅は通常透明ですが、曇ったり褐色を帯びたりするものもあります。多くの種で翅は丸みを帯びた長三角形をしています。脚は、腿節と脛節が黒く、跗節が褐色がかるものが多いです。

クロツヤバエ科を識別するための特徴は以下の通りです。

翅:
第2基室とcua室は完全に閉じており、cua室の外縁は単純な円弧状です。
C脈の切れ目は1箇所のみで、Sc脈の合流点の直前にあります。
多くの種でc室ではC脈がやや前方に張り出すため、c室が幅広く大きくなります。
C脈はM1+2脈で終わります。
Sc脈は完全に湾曲し、R1脈とは融合しません。
平均棍は全体に黒色です。
頭部:
額眼縁剛毛は1本のみで強く発達し、後傾します。
内頭頂剛毛と外頭頂剛毛も強く発達します。
単眼剛毛も同様に強いですが、後単眼剛毛は発達が弱く、それぞれ外側に向かっています。
触角の刺毛には微毛がありますが、枝毛はありません。
鬚剛毛はありませんが、亜鬚剛毛が太くなって鬚剛毛のように見えることがあります。
その他:
全脚の脛節の背面には亜末端剛毛がありません。
上前側板の後縁には複数の強い剛毛があります。

生態

幼虫の多くは植食性で、葉を食害することが知られています。しかし、腐食性や捕食性の種も存在します。例えば、Lamprolonchaea smaragdi はトマトに食害をもたらす害虫として知られています。

分類

クロツヤバエ科は、一般的に以下の2亜科9属に分類されます。

Dasiopinae 亜科
Dasiops 属 (127種)
Lonchaeinae 亜科
Chaetolonchaea 属 (7種)
Earomyia 属 (23種)
Lamprolonchaea 属 (20種)
Lonchaea 属 (212種)
Neosilba 属 (30種)
Protearomyia 属 (8種)
Setisquamalonchaea 属 (4種)
Silba 属 (92種)

Dasiopinae亜科は Dasiops* 属のみからなり、前気門の後ろから前気門側に向かって生える剛毛（気門後剛毛）を持つことで区別されます。したがって、この剛毛を持たないものがLoncaeinae亜科に分類されます。

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