クンショウモ

クンショウモ（Pediastrum）に関する詳細

クンショウモは淡水域において見られる緑藻の一種で、特徴的な細胞群体を形成します。この藻は、複数の細胞が定常的に平面的な構造を作ることから、観察することで豊かな生物学的知見を提供します。水田、池、沼といった環境に広く分布しており、特にその形状のユニークさから小中学校の教材としても重宝されています。

群体の構造

クンショウモの群体は、通常2から8細胞で構成され、最大で32細胞に達することがあります。細胞の数が同じでも多様な形状を持ち、例えば8細胞の群体は6細胞が外周を形成し、残りの2細胞が内側に配置される場合や、全ての細胞が外周を囲むリング状に配列される場合もあります。これらの形状は、環境に応じて変化することが多いため、一概に分類することは難しいです。

内外に配置される細胞は形状が異なり、H型から平坦な多角形まで多様です。特に外周を形成する細胞はしばしば突起を持つため、これが一つの分類基準となっています。なお、ボルボックス目のゴニウムと似ていますが、ゴニウムは運動性が高く、細胞が球状または楕円形であるため、容易に判別が可能です。

細胞の構造

クンショウモの構成細胞はセルロース性の二層細胞壁を持ち、多くの場合、珪酸を含んでいます。葉緑体は細胞全体に広がり、光合成のためのクロロフィルaとbを含むため、細胞自体が緑色を帯びています。これらの栄養細胞は多核細胞であり、通常1つのピレノイドを持ち、ここにはデンプンが蓄積されています。

生殖方法

クンショウモは無性生殖および有性生殖の両方を行います。無性生殖の際は、親細胞が細胞分裂を行い、娘群体を形成します。この母細胞の内部で形成された遊走細胞は、親細胞から離れた後、短時間で遊泳能力を失い、再び規則正しく娘群体を構築します。

有性生殖時には、より小型の遊走細胞が生成され、同形の配偶子が接合し接合子を形成します。接合子は肥大化し、そこから新たな遊走細胞を生成し、最終的に新しい群体を形成します。

分類と分布

クンショウモ属のPediastrumには約20種が確認されており、日本に生息する種は4種または10種とも言われていますが、実際の数は明確ではありません。2005年には分子系統解析によりPediastrum属の単系統性が否定され、他の二つの新属に分けることが提案されました。これにより、この藻類の系統解析は一層進展しています。

参考文献

• - 水野寿彦編『日本淡水プランクトン図鑑』（保育社、1984）
• - 千原光雄編『バイオディバーシティ・シリーズ（3）藻類の多様性と系統』（裳華房、1999）
• - 宮城教育大学附属理科教育研究施設『クンショウモの簡易培養と自然環境教育教材としての利用』
• - Buchheimら,

もう一度検索