クールミントガム

ロッテ株式会社から1960年6月に発売されたクールミントガムは、その名の通り清涼感あふれるミントフレーバーが特徴のチューインガムです。パッケージには「COOL MINT」と表記され、「お口の中に風が吹く」という印象的なキャッチフレーズとともに、半世紀以上にわたり日本の消費者に親しまれてきました。現在の製品はオープン価格で提供されており、標準的な9枚入りの1パックは、消費税抜きで概ね94円前後で販売されています。また、複数個をまとめて購入できる3パックセットや5パックセットといった形態も展開されています。

開発の背景とコンセプト

クールミントガムの開発は、1956年にロッテが日本の南極地域観測隊へビタミンCを配合した栄養補助ガムを提供した経験に端を発しています。南極の澄み切った大気の爽快さや、凍てつく氷山が放つ冷たさといったイメージを、ガムの爽やかなペパーミントのフレーバーによって表現しようという意図から生まれました。この製品コンセプトは、清涼感とリフレッシュ効果を求める多くの人々に支持される基盤となりました。

味わいの変遷

クールミントガムのフレーバーは、時代の変化や消費者の嗜好に合わせて、幾度かの改良が重ねられてきました。特に、2014年に行われた製品リニューアルでは、使用されるメントールを天然由来のものに限定することで、より自然でキレのある冷涼感を追求しました。このリニューアルと同時に、クールミントガムは健康志向の高まりを受けてシュガーレスタイプへと変更されています。さらに遡ると、2006年には1980年代に親しまれていたパッケージデザインと味わいを再現した「クールミントガム -クラシックタイプ-」が期間限定で登場したこともあります。このクラシックタイプは、同時期のレギュラー製品と比較してメントールの刺激がやや抑えられた配合となっていました。

象徴的なパッケージデザイン

クールミントガムを象徴するのは、青色を基調としたパッケージに描かれたペンギンと三日月のイラストです。このデザインは、姉妹商品であるグリーンガムと同様、発売以来何度か変更が加えられています。1993年に採用されたデザインは、著名なグラフィックデザイナーである佐藤卓氏が手掛けたもので、パッケージに「COOL MINT」のロゴを大きく配置したデザインが特徴でした。このリニューアルの際には、プロモーションの一環として、東京都西新宿にあるロッテ本社のビルがクールミントガムとグリーンガムの新デザインでラッピングされるという、当時としては珍しい取り組みも行われました。また、パッケージ側面に描かれている5匹のペンギンのうち、右から2番目のペンギンだけが左手を挙げているという細部も注目されています。これは、かつてパッケージに一緒に描かれていたクジラへの感謝の気持ちを表しているという説が語り継がれています。2014年のリニューアルでは、パッケージデザインは再び刷新され、全体がツートーンカラーで構成されるモダンな印象となりました。発売当初から長らく使われてきた、三日月でアルファベットの「C」を形作り、二つの「O」を繋げた独特のロゴタイプも変更され、「COOL」と「MINT」という単語が、それぞれ異なるパッケージ面に同一の書体で表示されるデザインへと改められました。加えて、通常デザインに加えて、ペンギンのイラストが異なる特別パッケージが混在して流通することもあります。

コラボレーションによる関連商品

クールミントガムのブランドイメージを活かした、他企業とのコラボレーションによる関連商品も展開されています。2007年には、飲料メーカーのサントリーと共同開発した炭酸飲料「クールミントサイダー」が発売され、ガムの持つ爽快感を飲料という形で提供する試みが行われました。さらに、2017年5月には、日用品メーカーであるライオンと連携し、キッチン用洗剤「CHARMY Magica 除菌+ クールミントの香り」が数量限定で市場に投入されました。この洗剤は、クールミントガムの清涼感を香りで再現し、パッケージにもガムのデザイン要素であるペンギンや氷山のイラストが取り入れられました。

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