グアイレ川

グアイレ川（Río Guaire）

グアイレ川は、ベネズエラのカラカス盆地を東西に流れ、最終的にトゥイ川へと合流する全長72kmの河川です。その内、約53kmがカラカスの市街地を通過しており、都市の景観や生活に深く関わっています。

地理

グアイレ川は、マカラオ川とサンペドロ川の合流地点からその名を持ちます。カラカス盆地の南西から北東へと流れ込み、旧市街地の近くで流れの向きを東に変えます。その後、盆地を西から東へと貫流し、再び山間部に入り込みながら南東方向に蛇行し、最終的にトゥイ川に合流します。

治水

カラカス盆地を流れる区間では、グアイレ川は直線化され、川岸はコンクリートで護岸されています。しかし、河川敷や堤防は整備されておらず、大雨の際にはしばしば川が氾濫し、周辺の住宅地に被害をもたらすことがあります。都市化が進む中で、河川の治水対策は重要な課題となっています。

環境

グアイレ川は、ベネズエラ国内でも特に汚染が深刻な河川として知られています。工業用水の処理率は80%に達しているものの、生活排水の大部分は未処理のまま川に流れ込んでいます。そのため、川にはゴミが大量に投棄され、岸辺に滞留するなど、景観を損ねるだけでなく、水質汚染も深刻化しています。環境改善に向けた取り組みが求められています。

利水

カラカス市は、主要な水源としてグアイレ川ではなく、グアリコ川上流やトゥイ川の支流に建設されたダム湖からの取水に依存しています。これは、グアイレ川の水質汚染が深刻であるためと考えられます。

支流

グアイレ川には、以下の支流があります。

マカラオ川 (Río Macarao)
サンペドロ川 (Río San Pedro)
カリクアオ沢 (Quebrada Caricuao)
カロアタ川（Río Caroata)
カトゥチェ川 (Río Catuche)
アナウコ川 (Río Anauco)
カノアス沢 (Quebrada Canoas)
マリペレス沢 (Quebrada Mariperez)
エルバジェ川 (Río El Valle)
チャカイト沢 (Quebrada Chaca'ito)
バルタ沢 (Quebrada de Baruta)
キンテオ沢 (Quebrada Quinteo)
パハリトス沢 (Quebrada Pajaritos)
セブカン沢 (Qubrada Sebucan)
トコメ川 (Río Tocome)
カウリマレ川 (Río Cuarimare)
ラグアイリタ沢 (Quebrada La Guairita)
スアピテ川 (Río Suapite)

参考資料

* 国立科学博物館（カラカス）展示資料

グアイレ川は、カラカスの都市生活と密接に関わりながらも、環境問題や治水対策など、多くの課題を抱えています。今後の持続可能な都市開発において、グアイレ川の再生は重要なテーマとなるでしょう。

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